両立支援等助成金6コースの違いと選び方 育休・介護・男性育休・不妊治療
経営・資金調達

両立支援等助成金6コースの違いと選び方 育休・介護・男性育休・不妊治療

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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両立支援等助成金 種類を調べる企業の多くは、育休・介護・男性育休・不妊治療のどの制度から整えるべきかで迷っています。両立支援等助成金は、単に休業者が出た時の給付ではなく、制度設計・面談・業務代替・職場復帰までを整えるための助成金です。本記事では6コースの違いと選び方を実務目線で整理します。

6コースの概要と支給額の目安

最初に制度の全体像をそろえます。助成金は「使えそうな制度名」から探すより、採用・定着・育成・休業など、自社がこれから実施する労務施策から逆算する方が失敗しにくくなります。補助金との違いをまだ整理できていない場合は、先に助成金と補助金の違いを確認しておくと、申請タイミングと対象経費の考え方がつかみやすくなります。

区分主な内容実務上の確認点
出生時両立支援コース男性労働者の育休取得と職場風土づくり28.5万〜100万円程度。取得人数や取組で変動
介護離職防止支援コース介護休業・介護両立支援制度の利用促進休業取得・職場復帰、制度利用で支給
育児休業等支援コース育休取得前面談、職場復帰支援プランの実施育休取得時・職場復帰時などに分かれる
育休中等業務代替支援コース育休中の代替要員確保や周囲の業務代替を支援代替体制・手当支給・新規雇用で変動
柔軟な働き方選択制度等支援コース短時間勤務、テレワーク、時差出勤等の制度利用制度導入と利用実績を確認
不妊治療両立支援コース不妊治療と仕事の両立制度を整備休暇・柔軟勤務制度の利用が要件

厚生労働省系の助成金は、年度途中でも支給要領・様式・電子申請の扱いが変わることがあります。記事内では制度設計の考え方を中心に整理しますが、実際の申請前には必ず最新のパンフレット、支給要領、管轄労働局の案内を確認してください。

申請要件と書類の流れ

助成金の申請は、実施後に書類を集めれば間に合うものではありません。計画、規程、対象者、実施記録、賃金支払い、申請期限が連動します。以下の流れを社内の工程表に落とし、担当者と期限を決めて進めることが実務上の出発点です。

1. 対象者の発生前に制度確認

育休・介護・不妊治療の相談が出てから制度を作ると、制度導入日や周知日が要件に合わないことがあります。就業規則、育児介護休業規程、社内周知を先に確認します。

2. 個別面談とプラン作成

対象労働者と面談し、休業期間、復帰予定、業務引継ぎ、代替体制を記録します。面談記録がないと、職場復帰支援や業務代替の実態を説明しにくくなります。

3. 制度利用の実施

育休、介護休業、短時間勤務、テレワーク、休暇制度などを実際に利用してもらいます。制度が紙にあるだけでは足りず、利用実績が支給申請の軸になります。

4. 代替体制の運用

周囲の従業員が業務を引き受ける場合は、業務分担表や手当支給の根拠を残します。代替要員を新規雇用する場合は、雇用契約と勤務実績が必要です。

5. 職場復帰・継続就業確認

育休・介護休業から復帰した後、一定期間の継続就業を確認します。復帰面談や勤務条件の調整記録を残すと、制度利用の実効性を説明できます。

6. 支給申請

支給申請書、規程、面談シート、休業取得記録、賃金台帳、出勤簿、代替体制資料を都道府県労働局へ提出します。雇用環境・均等部門の窓口確認が必要です。

必要書類と申請窓口

申請窓口は、制度により都道府県労働局、ハローワーク、雇用関係助成金ポータルに分かれます。紙で提出する場合も電子申請を使う場合も、審査で見られるのは「制度上の要件を満たしているか」と「実施した事実を客観資料で示せるか」です。Jグランツの使い方のような補助金電子申請とは窓口が異なることが多いため、混同しないようにしてください。

主な書類は次の通りです。

  • 支給申請書、対象労働者一覧
  • 育児介護休業規程、就業規則、社内周知資料
  • 個別面談記録、復帰支援プラン、介護支援プラン
  • 休業申出書、復帰届、制度利用申請書
  • 出勤簿、賃金台帳、雇用契約書
  • 業務代替者の業務分担表、手当支給資料
  • くるみん・プラチナくるみん認定や一般事業主行動計画の資料
  • 不妊治療両立支援制度の規程・利用記録

書類は単体でそろっていても、相互の整合が取れていないと差し戻しになります。雇用契約書の所定労働時間、出勤簿の勤務実績、賃金台帳の支払額、就業規則の制度内容が同じ説明になっているかを、申請前に月別で突き合わせてください。特に賃金台帳は令和8年度以降の各制度で確認が厳しくなっているため、提出対象外だと思い込まず保存しておくべきです。

社内の役割分担

助成金申請で止まりやすいのは、制度理解よりも社内資料の回収です。経営者は制度活用の意思決定と資金繰り、現場責任者は対象者の勤務実態と業務内容、給与担当者は賃金台帳と社会保険・雇用保険、外部専門家は要件確認と書類の整合を見る、という分担にすると進めやすくなります。

特に中小企業では、採用担当と給与担当が分かれていないことも多く、対象者の雇用条件変更が給与計算へ反映されないまま数ヶ月経過するケースがあります。助成金を検討する段階で、対象者ごとに「契約書」「勤怠」「賃金」「規程」「申請期限」の5項目を1枚にまとめると、誰が何を確認するのかが明確になります。

月次で保存しておく資料

申請直前に半年分の資料を集める運用は避けるべきです。毎月の給与締め後に、対象者の出勤簿、賃金台帳、雇用契約の変更有無、社会保険・雇用保険の加入状況を確認しておけば、申請時の作業は確認中心になります。助成金は後払いの制度なので、入金予定だけを資金繰りに入れるのではなく、審査期間中の立替負担も見込んでおく必要があります。

よくある不支給・差し戻しパターン

助成金は要件充足型の制度ですが、「要件を満たしているつもり」と「資料で証明できる」は別です。現場で起きやすい失敗を先に把握しておくと、申請直前の手戻りを減らせます。

1. 対象者が出てから規程を作り、制度導入日が要件に合わない

両立支援等助成金の多くのコースでは、育児・介護に関する制度を就業規則に規定した日付が申請の起点になります。対象者の産休・育休開始日より前に規程が施行されている必要があり、「社員から申し出があってから急いで規程を整備した」では時系列が逆転して不支給になります。就業規則の改定は労基署への届出が完了した日が施行日になるため、届出までのリードタイムを含めて早めに準備してください。

2. 面談記録や復帰支援プランがなく、両立支援の実態が残っていない

出生時両立支援コースや育児休業等支援コースでは、休業前・復帰前の面談実施と「育休復帰支援プラン」の作成が要件です。面談を実施しても記録を残していなければ「実施の証拠なし」と判断されます。面談日・出席者・話した内容・決定事項を記載した面談シートを作成し、対象者と上司双方の署名を得ておくのが確実です。

3. 代替業務を周囲が担ったが、業務分担や手当の記録がない

業務代替支援コースでは、育休取得者の業務を代替した社員への手当支給や業務分担の変更を書面で残すことが求められます。口頭で「あなたが代わりにやって」と頼んだだけでは支給対象になりません。業務代替の辞令・業務分担表・代替手当の支給明細を、休業開始前に整備しておく必要があります。

4. 男性育休の取得日数だけを見て、職場風土づくりの取組を忘れる

出生時両立支援コースでは、男性従業員の育休取得日数に加えて「育休を取得しやすい職場風土づくりの取組」が別要件として設定されています。研修の実施、相談窓口の設置、制度利用事例の社内周知などが該当しますが、取組の実施日が対象者の育休開始日以前であることを証明できる記録(研修日報、社内通知メールの日付等)が必要です。

5. くるみん関連の行動計画・公表状況を確認していない

一部のコースでは、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出・公表が申請要件に含まれます。行動計画を策定していても、厚生労働省の「両立支援のひろば」への公表が漏れていると要件未充足になります。申請前に「両立支援のひろば」で自社の公表状況を確認し、計画期間が切れていないかも合わせてチェックしてください。

コース選び方のフローチャート

同じ助成金でも、業種によって使い方はかなり変わります。雇用形態、シフト、資格、現場の属人性、繁忙期が違うためです。ここでは、制度名からではなく現場課題から見た活用パターンを整理します。

業種・場面活用イメージ設計ポイント
男性社員の育休取得を増やしたい出生時両立支援コース経営層メッセージ、管理職研修、取得予定者への個別周知をセットで進める
介護離職を防ぎたい介護離職防止支援コース相談窓口、介護支援プラン、短時間勤務や休暇制度の使いやすさを点検する
育休者の業務を現場で回したい育休中等業務代替支援コース業務棚卸し、代替者の負荷、手当支給の根拠を先に設計する
不妊治療と仕事の両立相談がある不妊治療両立支援コースプライバシー保護、休暇取得単位、上長への情報共有範囲を整理する

業種別に見ると、助成金の成否は「対象者がいるか」よりも「制度を運用できるか」で決まります。飲食・小売のようにシフトが細かい業種では出勤簿と雇用契約の整合、介護・保育のように資格や加算が絡む業種では手当の整理、IT・専門サービスでは職務定義と評価制度の整備が論点になります。

男性育休助成金の取得実例として整理したい論点

助成金は雇用・労務改善を支える制度です。一方、補助金は設備投資、販路開拓、ITツール導入、新規事業などを支える制度です。両者は併用できますが、同一経費を二重に申請することはできません。資金調達全体を考える場合は、小規模事業者持続化補助金の申請方法も参考にしながら、対象経費を分けて設計してください。

制度・組み合わせ使いどころ注意点
営業職顧客担当を一時移管し、育休前後の商談管理をCRMに残す属人化解消が助成金だけでなく営業管理の改善にもつながる
製造職ラインの多能工化と代替シフトを設計育休者1名のための施策が、欠勤・繁忙期対応の体制強化にもなる
管理部門月次決算・給与計算の締日を分解し、外部委託範囲を整理短期間の育休でも業務分担表がないと周囲の負担が見えない

補助金と助成金を同じ時期に検討する場合、経費表だけでなくスケジュール表も分ける必要があります。補助金は公募締切、採択、交付決定、実績報告という流れがあり、助成金は計画届、実施、賃金支払い、支給申請という流れがあります。片方の締切に引っ張られてもう片方の事前手続を漏らすケースがあるため、最初に全体カレンダーを作るべきです。

資金繰り表への落とし込み

助成金は原則として、要件を満たす取組を実施し、賃金や経費を支払った後に申請・審査・入金という順序で進みます。つまり、受給見込み額をそのまま当月の資金として扱うことはできません。採用や研修、休業手当、制度導入に伴う支出が先に出るため、少なくとも3ヶ月から6ヶ月分のキャッシュフローを見ておくべきです。

補助金と併用する場合はさらに注意が必要です。補助金も交付決定後に事業を実施し、実績報告後に入金される後払い型が中心です。助成金と補助金の両方を見込んで投資する場合、入金時期が重ならないことを前提に、融資、自己資金、支払条件の調整を組み合わせます。ここを見誤ると、制度上は使えるのに実行資金が足りないという状態になります。

同一経費を避ける管理方法

併用時は、会計上の勘定科目だけでなく、申請制度ごとの管理番号を付けると安全です。例えば「採用・雇用改善」は助成金、「広告・設備・ITツール」は補助金という大枠で分けた上で、見積書、請求書、支払記録にどの制度で使う予定かをメモしておきます。申請時に二重計上を疑われないよう、対象経費一覧を制度別に分けて保存してください。

申請前チェックリスト

申請前には、次の項目を最低限確認してください。チェックがひとつでも曖昧な場合は、制度のパンフレットだけで判断せず、管轄窓口や社会保険労務士へ確認してから動く方が安全です。

  • 対象者が出る前に育児介護休業規程を確認した
  • 個別面談と支援プランの様式がある
  • 休業・制度利用・復帰後の記録を保存できる
  • 業務代替者の負担と手当を説明できる
  • くるみん認定や行動計画との関係を確認した
  • 相談内容のプライバシー管理を決めている

チェックリストは、制度ごとの要件確認だけでなく社内連携の道具として使います。経営者は資金繰り、現場責任者は勤務実態、給与担当は賃金台帳、外部専門家は要件確認というように、確認項目を担当者別に割り振ると抜け漏れが減ります。

申請後・支給後の管理

支給申請を出したら終わりではありません。労働局から追加資料や説明を求められることがあり、担当者が異動・退職していると対応が遅れます。申請書類一式、提出日、受付番号、担当窓口、追加提出した資料をフォルダ単位で保存し、最低でも支給決定まで同じ管理表で追えるようにしてください。

支給後も、対象労働者の継続雇用、制度運用、取得財産や補助金との切り分けなど、後から確認される可能性があります。助成金は「受給したら終了」ではなく、雇用管理を改善するための制度です。支給後3ヶ月、6ヶ月、1年のタイミングで、対象者の定着状況、制度の使われ方、次に使える助成金・補助金を見直すと、単発の資金確保で終わらず、採用・育成・定着の仕組みづくりにつながります。

年度更新時の見直し

厚労省系助成金は、年度初めに支給要領、様式、添付書類、電子申請の扱いが変わることがあります。前年度の資料をそのまま使うと、様式番号の違い、添付書類の追加、賃金要件の変更、コース統廃合を見落とします。毎年4月から5月にかけて、対象になりそうな助成金を一覧化し、今年度の変更点、申請予定者、社内規程の修正要否を確認する時間を取ってください。

年度更新時は、単に「今年も同じ制度を使うか」ではなく、採用計画、賃上げ計画、研修計画、休業リスク、育休・介護の取得予定を並べて見ます。制度側から逆算すると施策が細切れになりますが、事業計画から逆算すると、どの助成金をいつ検討すべきかが見えやすくなります。これにより、申請直前に慌てて書類を作る運用から、年度計画の中で自然に証憑を残す運用へ移行できます。

もうひとつ見落としやすいのが、担当者交代時の引き継ぎです。助成金の工程は半年以上に及ぶことがあり、採用時の担当者、賃金支払い時の担当者、支給申請時の担当者が同じとは限りません。制度名、対象者、対象期間、提出済み書類、次の期限を管理表に残しておくと、引き継ぎ後も申請品質を保てます。属人的な記憶ではなく、案件単位の管理に切り替えることが、複数制度を扱う企業ほど効いてきます。

初回申請では、完璧な制度網羅よりも、1制度を正しい順序で通す経験が価値になります。その経験をもとに、次回以降は対象者の洗い出し、規程整備、月次資料保存を標準業務に組み込んでください。

関連サービスと相談窓口

助成金は、単独の申請テクニックではなく、採用計画、就業規則、賃金制度、教育計画、資金繰りとつながっています。開業直後や新規事業の立ち上げ時は、助成金だけを後から探すより、雇用計画と資金調達の全体像を先に設計する方が効果的です。

ローカルマーケティングパートナーズでは、新規事業立ち上げ支援開業支援パックの中で、事業計画、採用計画、補助金・助成金の活用余地を整理する壁打ちを行っています。制度の申請可否だけでなく、事業フェーズに合わせた資金調達ポートフォリオとして検討したい場合にご相談ください。


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山本さんへのヒアリング項目

以下の独自知見ポイントに、具体的な支援事例・判断基準を追加していただきたいです。

  1. 男性育休で現場が止まりやすい職種と、その代替設計
  2. 介護離職相談で初回面談時に確認する項目
  3. くるみん認定と助成金活用を同時に進めた場合の順序
  4. 不妊治療両立支援でプライバシー配慮と証憑を両立する方法

よくある質問

Q. 両立支援等助成金は何種類ありますか?

A. 出生時両立支援、介護離職防止、育児休業等支援、業務代替、柔軟な働き方、不妊治療などのコースがあります。

Q. 男性育休で使うコースはどれですか?

A. 男性労働者の育児休業取得を進める場合は出生時両立支援コースを中心に検討します。

Q. くるみん認定がないと申請できませんか?

A. 認定が必須でないメニューもありますが、認定や行動計画は加算・評価と関係するため早めに確認します。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

中央大学卒業。日系上場コンサルティング会社で3年勤務後、M&Aベンチャー執行役員を経て2022年に独立。BtoBマーケティング支援・FC加盟店開発・M&Aアドバイザリーを専門領域として、戦略設計から施策実行まで一気通貫で担う伴走型支援に取り組んでいる。

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