BtoBマーケティングとは 基本の戦略設計から施策・営業連携まで体系解説
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BtoBマーケティングとは 基本の戦略設計から施策・営業連携まで体系解説

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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BtoBマーケティングの基本を体系的に押さえたい——この記事は、そんな方のための実務ガイドです。

BtoBマーケティングとは、企業が企業(法人)に商品・サービスを販売するためのマーケティング活動のこと。個人消費者向けのBtoCと最も異なるのは、購買の意思決定に複数の担当者が関与し、検討から受注まで数週間〜数か月かかる点です。この長い検討期間に自社の存在を維持し、信頼を積み上げることが成果への近道になります。

記事の前半ではBtoB特有の購買構造とターゲット設計を、後半ではコンテンツ・施策の選び方と営業連携の仕組みを扱います。「何から手を付ければいいか分からない」という段階でも読み進められるように構成しました。

なぜ今BtoBマーケティングを強化すべきなのか

BtoBの購買行動はこの数年で大きく変わりました。経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、BtoB-EC市場の規模は2023年時点で約465兆円、EC化率は40.0%超。企業間取引のデジタルシフトに伴い、マーケティング活動のデジタル化も避けられない流れです。

Gartner社の調査(2023年)によると、BtoB購買者が営業担当者と直接やり取りする時間は購買プロセス全体のわずか17%。残りの83%は自社での情報収集やオンラインでの比較検討に費やされています。営業がアプローチする前に、見込み顧客が自社を「候補」として認識しているかどうか——ここが勝負の分かれ目です。

この変化に対応できていない企業は、営業の「足」で稼ぐ旧来型のスタイルから抜け出せず、リード獲得コストが年々膨らむ一方。マーケティングの土台を整えることは、単なるトレンドへの追随ではなく、営業効率そのものを改善する打ち手です。

BtoBマーケティングの全体像

BtoBマーケティングは大きく「リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)→ リードナーチャリング(育成)→ リードクオリフィケーション(選別)→ 営業連携」という流れで進みます。

BtoBマーケティングの基本構造: リードジェネレーション→ナーチャリング→クオリフィケーションのファネルとBtoB特有の購買特性

この流れを機能させるには3つの土台が必要です。「誰に売るか(ターゲット設計)」「どう育てるか(ファネル・コンテンツ)」「いつ営業に渡すか(リード引き渡し基準)」——どれか一つが欠けると、施策を増やしても成果が積み上がりません。

SEO、Web広告、ウェビナー、ホワイトペーパーなど、BtoBで使える施策は多岐にわたります。しかしターゲット定義が曖昧なまま広告を回せば的外れなリードが集まり、ナーチャリングの仕組みがなければリードは冷めていくだけ。営業へのリード引き渡し基準が未定義なら「質の低いリードしか来ない」という不満が出続ける——戦略の土台を先に整える理由がここにあります。

BtoBの購買構造を理解する

戦略を組む前に、BtoB特有の購買構造を押さえておく必要があります。BtoCとは意思決定プロセスが根本的に異なり、この違いを見落としたまま施策を打つと施策の設計そのものがズレます。

BtoCとの違い

観点BtoCBtoB
意思決定者購入者本人(1名)現場担当者・管理職・経営層など複数名(平均 6〜10名)
検討期間数分〜数日数週間〜数か月(大型案件は 1年以上)
購買動機感情的・衝動的業務課題の解決・ROI 改善など合理的判断
取引単価低〜中中〜高(継続利用・アップセルが前提)
重視する指標短期売上LTV(顧客生涯価値)

この長い検討期間に自社の存在を維持し、信頼を蓄積し続けることがBtoBマーケティングの本質です。「売る」よりも「選ばれる仕組みを作る」発想が求められる理由がここにあります。

購買プロセスの段階

BtoBの購買プロセスは4つの段階で進みます。

  1. 課題認識 — 現場で非効率や問題が発生し、「何か手を打つ必要がある」と認識する段階。具体的な解決策はまだ探していません
  2. 情報収集 — 関連するソリューションをWeb検索や業界メディア、同業事例を通じて調べる段階。BtoB購買者の約7割は営業と接触する前にオンラインで情報収集を済ませています(※1)
  3. 比較検討 — 複数のソリューションを要件適合性・費用対効果・導入難易度で評価する段階。ホワイトペーパーや導入事例、比較資料が大きな役割を果たします
  4. 社内稟議・意思決定 — 決裁権を持つ経営層の判断を経て導入が決まる段階。ROI試算や導入後のサポート体制の明示が求められます

マーケティングが最も影響力を発揮するのは「情報収集」と「比較検討」の段階です。ここで自社コンテンツに接触してもらえるかどうかが、商談機会そのものを左右します。

DMU(意思決定関与者)の理解

BtoB購買の意思決定に関わる関係者の集合体をDMU(Decision Making Unit)と呼びます。DMUの構成を理解し、それぞれの関心事に応じた情報を届けることが成約率に直結します。

DMU の役割担当者例関心事有効なコンテンツ
起案者現場担当者課題解決の具体的方法ハウツー記事、事例
影響者情シス・技術責任者技術的な適合性・運用負荷技術仕様書、比較資料
決裁者経営層・管理職ROI・競合比較・リスクROI 試算、導入事例
利用者現場メンバー操作性・サポート体制デモ、トライアル
BtoB購買における意思決定関与者(DMU)の構造と各役割に有効なコンテンツ

コンテンツ設計では、DMUの各役割に向けた情報を意識的に盛り込む必要があります。現場担当者向けのハウツー記事と、決裁者向けのROI試算では求められる内容がまったく異なります。

リードジェネレーション・ナーチャリング・クオリフィケーション

購買プロセスに対応する形で、BtoBマーケティングは大きく3つのフェーズで構成されます。

  • リードジェネレーション(見込み顧客の獲得) — SEO、Web広告、セミナー、展示会などを通じて潜在顧客との接点を作る段階
  • リードナーチャリング(見込み顧客の育成) — メール配信やコンテンツ提供を通じて検討度合いを高める段階。リードナーチャリングの実践ガイドも参照
  • リードクオリフィケーション(見込み顧客の選別) — ナーチャリングを経たリードから商談化の可能性が高いMQLを選別し、営業に引き渡す段階

この一連のファネルを数値で管理する方法についてはマーケティングKPI設計で詳しく解説しています。

ターゲット設計がすべての起点になる理由

BtoBマーケティングの成否は、ターゲット設定の精度でほぼ決まります。

「IT企業の情シス部長」といった粗いペルソナでは足りません。その人が日々何に悩み、どんなKPIを追い、どのような情報収集行動をしているか——そこまで解像度を上げて初めて、コンテンツも広告も刺さるようになります。ICP(企業レベル)→ペルソナ(個人レベル)→DMU(意思決定構造)の順で深掘りし、半年に1回は営業フィードバックで更新するのが理想的なサイクル。

ICP(理想的な顧客像)の定義方法

ペルソナの前に、自社にとっての理想的な顧客像(ICP: Ideal Customer Profile)を明確にしておきましょう。PMFが達成できている領域から逆算するのが効率的です。

ICPは個人ではなく企業レベルの定義で、業種、従業員規模、売上規模、事業課題などの属性から、最もLTVが高く受注率も高い顧客セグメントを特定するもの。

この精度が低いと、リードジェネレーションの段階でミスマッチが起きます。大量にリードを獲得しても商談化率が上がらず、営業から「質の低いリードしか来ない」という不満が出続ける——よくある負のパターンです。

特定の企業群を狙い撃ちにするABMは、ICPの定義がしっかりできている企業が次のステップとして取り組む戦略です。

ペルソナ設計で具体化すべき要素

ICPが定まったら、その企業内の主要な意思決定関与者について個人レベルのペルソナを設計します。

  • 役職と業務範囲 — 何の責任を持ち、どんな業務を日々行っているか
  • KPIと評価基準 — 上司からどんな成果を求められているか
  • 課題と不満 — 業務上で感じているペインポイントは何か
  • 情報収集チャネル — どのメディアやイベントから情報を得ているか
  • 意思決定における役割 — DMUの中でどのポジションにいるか

バリュープロポジションの明確化

ターゲットが定まったら、「その顧客に対して自社が提供する独自の価値」を言語化する番です。これをバリュープロポジション(価値提案)と呼びます。

整理の軸は3つの問いです。

  • 顧客の課題は何か — ターゲット企業が日常的に感じているペインポイント
  • 自社の解決策は何か — その課題に対して自社がどう応えるか
  • 競合との違いは何か — 同種のソリューションがある中で、なぜ自社を選ぶべきか

この3つが曖昧なまま施策を走らせると、コンテンツのメッセージが散漫になり、広告のクリエイティブも響きません。逆にバリュープロポジションが一文で言い切れる状態になれば、LP・ホワイトペーパー・セミナーの訴求軸がブレなくなり、施策間の一貫性が格段に高まります。

ターゲット設計を実務で動かす4つのアクション

机上の空論にしないために、4つの実務アクションを推奨します。

  • 既存顧客へのインタビューを最低5件実施し、導入の決め手と検討プロセスを可視化する
  • 営業チームから「受注しやすい顧客の特徴」をヒアリングし、ICP定義に反映する
  • CRMデータから受注率の高いセグメントを定量的に特定する
  • 失注案件の分析で失注理由のパターンを把握し、ターゲティングの精度を高める

ターゲット設計は「一度作って終わり」ではありません。営業からのフィードバックと受注/失注データを定期的に反映し、精度を高め続ける運用が成果の差を生みます。

コンテンツは「資産」として設計する

BtoBにおけるコンテンツは、単なる集客ツールではなく、見込み顧客の課題認知を促し信頼を構築するための「資産」。半年〜1年単位の積み上げとして捉える視点がなければ、短期の数字に振り回されて方針がブレ続けることになります。

営業と接触する前の情報収集段階で「この会社は信頼できそうだ」と感じてもらえるかどうか。商談の進みやすさは、この段階で大きく決まります。

ファネル別コンテンツの設計

ファネルの各段階に応じてコンテンツの役割が異なります。

ファネル段階目的主なコンテンツ
認知(TOFU)検索流入の獲得コラム記事、SEO コンテンツオウンドメディア
興味・関心(MOFU)リード情報の取得ホワイトペーパー、事例集、ウェビナー
検討(BOFU)購買判断の後押し導入事例の詳細版、比較資料、CVR 最適化された LP

コンテンツの蓄積と複利効果

検索流入を獲得するコラム記事は、一度上位表示されれば追加コストなしで継続的にリードを運んでくれます。広告は出稿を止めた瞬間に効果がゼロになる一方、コンテンツは蓄積するほど資産価値が膨らむ。この「複利効果」がコンテンツマーケティング最大の魅力です。

ただし放置は禁物で、時間とともに検索順位は下がっていきます。定期的なリライトと最新情報の追記をセットで運用する前提で計画を立ててください。

BtoBのコンテンツマーケティングについては関連コラムも参照してください。

BtoBマーケティングの施策一覧と優先順位の決め方

BtoBマーケティングで活用される施策は多岐にわたりますが、すべてを同時に実行する必要はありません。全体像を把握した上で、自社のフェーズと課題に合った施策から着手するのが鉄則です。

施策カテゴリ特徴即効性蓄積性関連コラム
SEO・コンテンツ検索流入で見込み顧客と接点を作るSEO 対策の基本
Web 広告ターゲティング精度が高く、予算コントロールが容易リスティング広告
セミナー・ウェビナー専門性のアピールと直接の課題ヒアリングが可能セミナー運営ガイド
メールマーケティングナーチャリングの中核。関心度の可視化も可能メールマーケティング
SNS 活用認知拡大・ブランディング・採用への波及効果BtoB SNS マーケティング
展示会・イベント対面で一度に大量のリードを獲得できる展示会マーケティング

最初から複数施策を同時に走らせるのではなく、1〜2施策で成果パターンを確立してから横展開します。広告(即効性)とコンテンツ(蓄積性)の組み合わせが基本の型になります。

SEO・コンテンツマーケティング

ターゲット顧客が「課題認識」や「情報収集」の段階で検索するキーワードに対して、有益なコンテンツを準備しておく手法です。

ROI(投資対効果)の高い施策として、上位表示を獲得した記事は追加コストゼロで見込み顧客を引き寄せ続けます。一方、成果が出るまでに6〜12か月かかる点は経営層との認識合わせが必要になります。BtoBでの実践についてはコンテンツマーケティングガイドも参照してください。

Web広告(リスティング・ディスプレイ)

Googleリスティング広告は「今すぐ解決策を探している」需要顕在層への最短ルート。「[サービスカテゴリ] 費用」「[課題] 解決方法」など購買意欲の高いキーワードに絞って配信するのが基本の型です。

ディスプレイ広告やLinkedIn広告はターゲット属性を絞った認知拡大に向いています。BtoB広告の費用感やKPIについてはリスティング広告の基本で詳しく解説しています。

セミナー・ウェビナー

BtoBにおいてセミナー・ウェビナーは、専門性のアピールと課題ヒアリングを同時に行える数少ない施策です。登壇者の知見を直接見せることで「この会社なら解決してくれそう」という信頼感を効率的に醸成できます。

ポイントはフォローアップの設計まで含めて施策と捉えること。参加後48時間以内のお礼メールと個別提案アポの設定が商談化率を左右します。セミナー運営の全工程についても参照してください。

ホワイトペーパー・資料ダウンロード

課題に直面している潜在顧客に対して、解決策の概要を無料で提供する代わりに会社名・連絡先を取得する手法です。「お役立ち資料」として検索上位に表示させるか、広告で拡散するかの2ルートが主流になっています。

注意点は、ダウンロードされた資料の内容が薄いとリードの質が下がること。「自社なりの数値・事例・フレームワーク」を盛り込み、競合が同様の資料を出していても選ばれる内容に仕上げる必要があります。

メールマーケティング・MAツール

既存リードに対して継続的に情報を届け、検討度合いを高めるのが狙いです。週1〜月2回程度のメール配信で「タイミングが来たときに思い出してもらう状態」を維持します。

MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入すれば、メール開封・リンククリック・サイト訪問などの行動を追跡しながら自動でシナリオメールを送れます。ただし、ツール導入より先に「どのリードに何を届けるか」のシナリオ設計が先。ここを飛ばすと、高機能なツールを入れたのに使いこなせないという状況に陥りがちです。

展示会・オフライン施策

最大の強みは、短時間で大量のリードを対面で獲得できること。業界専門の展示会に出展すると、すでに課題意識を持った来場者と直接接触できます。

一方、出展コストは高額(小間代・装飾・人件費で数十〜数百万)で、フォロー体制が整っていなければ取得した名刺が眠ったままになりがちです。展示会でのリード獲得から商談化までのプロセスは展示会マーケティングガイドで詳しく紹介しています。

インサイドセールス・BDR

アウトバウンドでターゲット企業にアプローチする手法です。ターゲット企業リストを作成し、メールや電話でアポイントを獲得する流れで、コンテンツマーケティングやイベントでは接触できない「検討していない状態の企業」にリーチできる点が特徴です。

ABM(Account-Based Marketing)と組み合わせ、特定の企業セグメントを集中的に攻略する企業も増えてきました。ABMの実践ガイドも合わせて参照してください。

2026年に押さえておくべきトレンド

BtoBマーケティングの基本構造は変わりませんが、実行手段は年々進化しています。直近で実務に影響が大きい変化を2点だけ挙げます。

生成AIによるコンテンツ制作と業務効率化

ChatGPTやClaudeなどの生成AIは、コンテンツの下書き作成、メール文面の生成、データ分析の補助など、マーケティング業務の幅広い領域で活用が進んでいます。ただし「AIで記事を量産すれば勝てる」という考え方は危険で、Googleは独自性のないAI生成コンテンツの評価を下げる傾向を強めている状況。自社の経験・事例・数値に基づいた一次情報の価値がむしろ高まっています。

AIは「手を速くするツール」として使い、「何を言うか」の判断は人間が担う——この役割分担が現時点での実務的な最適解です。

AI検索(LLMO)への対応

ChatGPTやPerplexityなどのAI検索エンジンが情報収集の入口として使われ始めています。BtoB購買者が「〇〇の比較」「〇〇の選び方」をAI検索で調べたときに、自社が情報ソースとして引用されるかどうかが、新しい競争軸になりつつあります。

対策の基本は、構造化されたコンテンツ(FAQスキーマ、比較表、定義の明確な見出し)を揃えることです。詳しくはAI検索とBtoBマーケティングで解説しています。

営業との分断を防ぐ:MQL定義とスコアリングの設計

マーケティングが獲得したリードを営業が適切にフォローできなければ成果にはつながりません。マーケと営業の分断は、BtoBマーケティングで最も典型的な失敗パターンの一つです。

MQL定義とリードスコアリング

出発点はMQLの定義を営業チームと合意すること。「ホワイトペーパーをダウンロードしただけ」のリードと「料金ページを閲覧した上で資料請求をしたリード」では、商談化の確度がまったく異なります。

スコアリングでは、属性スコアと行動スコアを分けて設計するのが実務上のポイントです。

スコア種別評価基準
属性スコアICP 合致度ターゲット業種 +10pt、従業員規模合致 +5pt
行動スコアWeb 上のアクション料金ページ閲覧 +15pt、コラム閲覧 +3pt、セミナー参加 +20pt

一定スコア以上をSQL(Sales Qualified Lead)として営業に引き渡す仕組みを構築することで、「質の低いリードしか来ない」という営業側の不満が解消されます。

インサイドセールスの役割

マーケとフィールドセールスの間にインサイドセールスを配置する体制も有効です。MQLに対して電話やメールで一次接触を行い、BANTなどのフレームワークでヒアリングした上で、商談化の見込みがあるSQLだけをフィールドセールスに引き渡す役割を担います。

この中間工程があることで、フィールドセールスは質の高い商談に集中でき、マーケティングはリードの質に関するフィードバックを迅速に得られる好循環が生まれます。具体的な立ち上げ方についてはインサイドセールスガイドも参照してください。

KPIによる連携の可視化

連携を属人的な関係に頼らないためには、数値による管理が不可欠。月次で追跡すべきKPIを整理しました。マーケと営業の合同レビューでこの数値をもとに改善サイクルを回します。

KPI意味目安
MQL 数マーケティング施策の量的成果施策規模に依存
MQL→SQL 転換率リード品質とナーチャリングの効果20〜30%
SQL→受注率営業プロセスの効率20〜30%
CAC顧客獲得コストLTV の 1/3 以下が目安
LTV/CAC レシオユニットエコノミクスの健全性3倍以上

「どこがボトルネックなのか」を数値で見える化することが、マーケと営業の議論の質を変えます。KPI設計の詳細はマーケティングKPI設計で掘り下げています。

組織体制と予算の考え方

BtoBマーケティングを継続的に回すには、施策だけでなく組織体制の設計も欠かせません。

BtoBマーケティング組織の段階的な成長モデル 立ち上げ期1-2名からの成長期3-5名・拡大期6名以上への発展と各フェーズの注力施策

段階別の体制モデル

フェーズ人数目安注力施策体制のポイント
立ち上げ期1〜2名Web 整備 + コンテンツ + リスティング広告兼務が前提。BPO(外部委託)の活用も有力
成長期3〜5名コンテンツ + 広告 + MA/CRM 運用役割分担が可能に。MQL の質に関するフィードバックループを確立
拡大期6名以上デマンドジェネ + コンテンツマーケ + マーケオペレーションチーム分け + マーケティングマネージャー配置が不可欠

予算配分の目安

一般的には売上の5〜10%をマーケティング予算に充てる企業が多く、立ち上げ期はコンテンツ制作と広告に集中させ、成長期にかけてMAツールやイベントへ配分を広げていくのが定石です。

最初から多くのチャネルに少額ずつ投資するより、1〜2チャネルで成果パターンを確立してから横展開する方が効率的です。戦略設計や専門性の高い施策は外部の支援会社に委託し、社内リソースはコンテンツ制作や営業連携に集中させる——リソースの限られた中堅企業では、この役割分担が現実的な選択肢になります。

外注の活用方法については別コラムで詳しく解説しています。

よくある失敗パターンと対処法

現場でよく見る失敗パターンを整理しました。根本原因の多くは「戦略の不在」に集約されます。

失敗パターン症状対処法
施策の手数だけ増やすSEO・広告・セミナー・SNS を同時並行して全て中途半端にまず 1チャネルで成果パターンを確立し段階的に拡大する
ツール導入が目的化MA や CRM を入れたが運用が回らず費用だけ積み上がる先にスプレッドシートでフローを手動で回し、自動化すべき箇所を見極める
短期で成果を求めすぎ四半期ごとに施策を変え、十分な検証期間が確保できない短期施策(広告)と中長期施策(コンテンツ/SEO)の評価期間を分けて経営層と合意する
マーケと営業の KPI 分断リード数だけがマーケの KPI、受注数だけが営業の KPIMQL→SQL 転換率を共有 KPI に設定し、月次の合同レビューを実施する
ペルソナが更新されない数年前のペルソナで施策を打ち続けている半年に 1回は見直し、営業フィードバックと市場変化を反映する

BtoBマーケティング用語解説

記事中に登場した専門用語を整理します。

用語意味
ICP(Ideal Customer Profile)自社にとって最もLTVが高く、受注しやすい顧客セグメントの定義。企業レベルの属性(業種・規模・課題)で規定する
DMU(Decision Making Unit)購買の意思決定に関わる複数の関係者の集合体。起案者・影響者・決裁者・利用者で構成される
MQL(Marketing Qualified Lead)マーケティング施策で獲得し、一定の基準を満たしたリード。営業に引き渡す前段階の選別結果
SQL(Sales Qualified Lead)営業が接触し、商談化の可能性ありと判断したリード。MQLからさらに絞り込まれた状態
BANT予算(Budget)・決裁権(Authority)・ニーズ(Need)・時期(Timeline)の4条件。商談の確度を判定するフレームワーク
CAC(Customer Acquisition Cost)顧客1社を獲得するためにかかった総コスト。広告費・人件費・ツール費を合算して算出する
LTV(Life Time Value)顧客生涯価値。1社の顧客が取引期間全体を通じてもたらす売上または利益の合計
MA(Marketing Automation)マーケティング活動を自動化するツール。メール配信・リードスコアリング・行動追跡などを自動で実行する
CPA(Cost Per Acquisition)1件のコンバージョン(リード獲得・商談設定など)にかかったコスト
TOFU / MOFU / BOFUマーケティングファネルの上部(認知)・中部(関心)・下部(検討)を指す略語
ABM(Account-Based Marketing)ターゲット企業を絞り込み、企業ごとにカスタマイズした施策を打つ手法。ICPの精度が前提
LLMO(LLM Optimization)ChatGPTなどのAI検索エンジンに自社コンテンツが情報ソースとして引用されるよう最適化する取り組み

まとめ

BtoBマーケティングで成果を出すための土台は3つ。ターゲット設定の高解像度化(ICP→ペルソナ→DMU)、ファネル段階ごとのコンテンツ資産の積み上げ、MQL定義・スコアリング・KPIによる営業連携の仕組み化——いずれも一朝一夕では完成しません。しかし一度仕組みが回り始めれば、安定的にリードを生み出す基盤になります。

施策の手数を増やす前に、まず戦略の土台を固めることから始めてください。

自社だけで進めるのが難しい場合は、戦略設計から施策実行までを一気通貫で支援するBPO型のマーケティング支援も選択肢の一つです。

BtoBマーケティングの各テーマを深掘りする

このガイドで触れた各テーマについて、より詳しく解説したコラムを用意しています。

始め方・年間計画

ターゲット設計・市場分析

リード獲得・ABM

コンテンツ・SEO・AI活用

SNS・広告・PR・ブランディング

ナーチャリング・データ分析

組織・外注・内製化


※1 出典: Demand Gen Report「B2B Buyer Behavior Study」


よくある質問

Q. BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの最大の違いは?

A. 意思決定に複数人が関与し、検討期間が長い点です。BtoCは個人の感情で即決されることが多いですが、BtoBは論理的な比較検討と社内稟議を経るため、段階的な情報提供とナーチャリングが必要になります。

Q. BtoBマーケティングで最初に取り組むべき施策は?

A. 自社サイトのコンバージョン導線の整備が最優先です。問い合わせフォーム・資料ダウンロード・事例ページを充実させてから、流入を増やす施策に取り組む順番が効率的です。

Q. BtoBマーケティングの成果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. 施策によって異なり、広告は1〜3か月、コンテンツマーケティングは6〜12か月、MAによるナーチャリングは3〜6か月が目安です。短期施策と中長期施策をバランスよく組み合わせることが成果への近道になります。

Q. マーケティング部門と営業部門の連携はどう進めればいいですか?

A. SQL(営業に渡すリード)の定義を両部門で合意することが出発点です。定期的な振り返りミーティングでリードの質をフィードバックし合い、基準を磨いていく仕組みが有効です。

Q. BtoBマーケティングの予算はどう設定すればいいですか?

A. 一般的には売上の5〜10%をマーケティング予算に充てる企業が多いです。立ち上げ期はコンテンツ制作と広告に集中し、成長期にかけてMAツールやイベントへ配分を広げていくのが定石です。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

マーケティング支援の実務経験を活かし、BtoB/BtoCの戦略設計から施策実行まで150件超のプロジェクトを統括。地場の店舗ビジネスからスタートアップ、上場企業まで、現場に入り込んで再現性あるマーケティングを構築する。セミナー支援では企画・運営・登壇まで一気通貫で手がける。

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