業務改善助成金の活用ガイド 賃上げと設備投資をセットで考える
経営・資金調達

業務改善助成金の活用ガイド 賃上げと設備投資をセットで考える

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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業務改善助成金は、賃上げと設備投資をセットで行う中小企業・小規模事業者を支援する厚生労働省の制度です。事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上につながる設備投資などを行うと、その費用の一部が助成されます。人手不足と最低賃金の上昇が続くなか、賃上げの原資を生産性向上で生み出そうとする企業にとって、関わりの深い制度です。

この記事では、業務改善助成金を、賃上げと設備投資をセットで考えるという観点から、経営者目線で整理します。助成額や助成率、対象経費、申請期間は年度ごとに見直されるため、本記事では制度の趣旨と活用の考え方を中心に解説し、具体的な金額や要件は最新の交付要綱で確認する前提で進めます。

業務改善助成金とは 賃上げと設備投資をセットで支援する

業務改善助成金の特徴は、賃上げと設備投資をセットで求める点にあります。単に設備を導入するだけでも、単に賃金を上げるだけでも対象にはならず、事業場内の最低賃金を引き上げたうえで、生産性向上につながる設備投資などを行うことが前提です。賃上げの幅や対象となる労働者の人数、設備の内容に応じて、助成される金額が決まる仕組みです。

この制度が想定しているのは、賃上げを一時的な負担で終わらせず、生産性向上とセットで持続可能なものにすることです。設備投資によって業務を効率化し、その分の余力で賃金を引き上げる。この好循環をつくる企業を後押しするのが、業務改善助成金の狙いです。だからこそ、賃上げと設備投資を別々に考えるのではなく、一体の取り組みとして計画することが活用の出発点になります。

なお、業務改善助成金は補助金とは性格が異なります。事業計画を競い合って採択される補助金に対し、業務改善助成金は定められた要件を満たせば対象になる助成金です。ただし、予算や申請期間には限りがあり、申請が集中すると早めに受付が終わることもあります。要件を満たすことと、期間内に申請することの両方が必要です。設備投資を支援する制度には省力化投資補助金などもあり、自社の目的に合った制度を選ぶことが大切です。

対象になる事業者と主な要件

業務改善助成金が対象とするのは、中小企業・小規模事業者で、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差が一定の範囲内にあることなどが要件になります。具体的な要件は年度ごとに定められ、見直されることもあるため、自社が対象になるかは最新の交付要綱で確認します。

要件の中心になるのが、事業場内最低賃金の引き上げです。その事業場で最も低い賃金を、定められた額以上引き上げることが前提となり、引き上げる額や対象となる労働者の人数によって、助成される金額の枠組みが変わります。賃上げをどの範囲で、どれだけ行うかが、活用の設計に直結します。

近年は制度の見直しが進み、対象や要件が変わることがあります。たとえば、対象となる事業者の範囲や、設備投資の要件などが年度によって調整されることがあるため、過去の情報をそのまま当てにせず、申請しようとする年度の最新情報を確認することが欠かせません。

対象になる設備投資・経費の考え方

業務改善助成金で対象になるのは、生産性向上に資する設備投資などです。機械設備の導入のほか、業務効率化につながる機器やシステムなどが含まれる場合があります。重要なのは、その投資が生産性の向上につながり、賃上げを支えるものであるという位置づけです。

対象になる経費の範囲は交付要綱で細かく定められており、何がどこまで対象になるかは年度によって見直されます。導入を検討している設備が対象に含まれるか、また対象経費としてどう扱われるかは、発注の前に確認しておくことが重要です。対象外の設備を先に購入してしまうと、助成を受けられないことがあります。

設備投資を考える際は、助成金の対象になるかどうかだけでなく、その投資が本当に自社の生産性向上につながるかという視点も欠かせません。助成金はあくまで投資を後押しする手段であり、目的は業務の改善と賃上げの両立です。自社の課題を解決する設備かどうかを軸に、対象になる範囲のなかで計画を立てます。

申請の流れと進め方

業務改善助成金の大まかな流れは、賃上げと設備投資の計画づくりから始まり、交付申請、交付決定、設備の導入と賃上げの実施、実績報告、助成金の支給という順に進みます。とくに注意したいのが、原則として交付決定を受ける前に設備を発注・購入すると対象外になる点です。賃上げと設備投資のタイミングや順序にも要件があるため、スケジュールの設計が成否を分けます。

申請にあたっては、事業実施計画書などの書類を準備します。賃上げの内容、導入する設備、それによってどう生産性が向上するかを、筋道立てて示す必要があります。形式的に要件を満たすだけでなく、賃上げと設備投資が一体の取り組みとして説明できることが求められます。

申請の時期は限られており、年度の予算がなくなると受付が終わることもあります。賃上げや設備投資の予定がある場合は、早めに最新の交付要綱と申請スケジュールを確認し、計画的に進めることが大切です。賃上げ・補助金まわりの全体像は業種別の補助金の選び方も参考になります。

賃金・就業規則の手続きは専門家と連携する

業務改善助成金の活用で見落とせないのが、賃金や就業規則に関わる手続きです。事業場内最低賃金を引き上げるには、賃金規定や就業規則の変更を伴うことが多く、これらは社会保険労務士の専門領域です。賃金・労務に関する手続きは、社労士に相談しながら進めるのが安心です。

賃上げは助成金の要件であると同時に、その後も継続する経営判断です。一時的に賃金を上げて要件を満たすだけでなく、引き上げた賃金を維持できる事業の仕組みをつくることが大切です。労務面の手続きは社労士、設備投資や生産性向上の計画づくりは経営の視点でと、それぞれの専門性を組み合わせて進めると、無理のない活用につながります。

当社では、設備投資や生産性向上を通じた経営改善の視点から、補助金・助成金の活用についてご相談いただけます。賃金・労務の手続きが必要な場合は、社労士などの専門家と連携しながら進める形をおすすめしています。

経営の視点で生産性向上の投資として活用する

業務改善助成金は、賃上げの負担を軽くするための制度であると同時に、生産性向上に踏み出すきっかけにもなります。人手不足が続くなか、設備投資で業務を効率化し、限られた人数でも回る体制をつくることは、多くの中小企業にとって避けて通れない課題です。助成金を活用することで、その投資のハードルを下げられます。

たとえば、店舗や事業所で人手のかかる作業を機械化する、受発注や管理の業務をシステム化するといった取り組みは、生産性向上と賃上げの両立につながります。どんな設備が自社の課題を解決するかを起点に考え、その投資が助成金の対象になるなら活用する、という順序で検討すると、助成金ありきにならずに済みます。

設備投資を支援する制度は業務改善助成金だけではないため、目的に応じた使い分けも意識します。賃上げと一体で設備投資を行うなら業務改善助成金、人手不足の解消に向けた省力化の投資なら省力化投資補助金、新たな分野への進出を伴う投資なら別の補助金、というように、自社の取り組みの性格によって適した制度が変わります。新分野への進出を伴う場合は新事業進出補助金が選択肢になることもあります。どの制度が自社に合うかを見極めてから、要件や申請の準備に進むと無駄がありません。

大切なのは、助成金を受け取ること自体を目的にしないことです。賃上げと生産性向上という本来の目的に照らして、自社にとって必要な投資を見極め、それを支える手段として助成金を位置づける。この視点を持つことが、業務改善助成金を有効に活用する鍵になります。

申請時の注意点

業務改善助成金の活用にあたっては、いくつか留意すべき点があります。まず、助成額や助成率、対象経費、申請期間、対象者の要件は年度ごとに見直され、変更されることがあります。本記事の内容は制度の考え方を示すものであり、具体的な金額や要件は必ず最新の交付要綱で確認してください。

次に、交付決定の前に設備を発注・購入すると対象外になることが一般的です。賃上げと設備投資の順序やタイミングにも要件があるため、思い込みで先に動かず、手続きの流れを確認してから進めます。スケジュールを誤ると、せっかくの取り組みが助成の対象にならないこともあります。

そして、賃上げは助成金を受けるためだけのものではなく、その後も続く経営判断です。引き上げた賃金を維持できる事業の仕組みとあわせて考えることが大切です。労務の手続きは社労士に相談し、設備投資は自社の課題解決を軸に計画する。専門家と連携しながら、無理のない形で活用することをおすすめします。


業務改善助成金を含む補助金・助成金の活用や、生産性向上の投資のご相談はローカルマーケティングパートナーズへ

設備投資や業務効率化を通じた経営改善の視点から、補助金・助成金の活用を一緒に検討します。賃金・労務の手続きが必要な場合は社労士などの専門家と連携し、具体的な金額や要件は最新の交付要綱をご確認のうえ進めます。

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よくある質問

Q. 業務改善助成金とはどんな制度ですか

A. 事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上のための設備投資などを行った中小企業・小規模事業者に、その費用の一部を助成する厚生労働省の制度です。賃上げと設備投資をセットで行うことが前提で、賃上げの幅や設備の内容に応じて助成額が決まります。

Q. 補助金とは何が違いますか

A. 業務改善助成金は、定められた要件を満たすことが前提となる助成金です。事業計画を競い合って選ばれる補助金とは性格が異なりますが、予算や申請期間に限りがあるほか、審査や交付決定の手続きもあるため、申請すれば必ず支給されるわけではありません。要件を満たすことと、期間内に申請することの両方が必要です。

Q. どんな設備や経費が対象になりますか

A. 生産性向上に資する設備投資などが対象になり、機械設備のほか、業務効率化につながる機器やシステムなどが含まれる場合があります。対象になる経費の範囲は交付要綱で細かく定められ、年度によって見直されるため、導入を検討している設備が対象になるかを申請前に確認することが重要です。

Q. 賃金や就業規則の手続きはどうすればよいですか

A. 最低賃金の引き上げには、賃金規定や就業規則の変更を伴うことが多く、これらは社会保険労務士の専門領域です。賃金・労務に関する手続きは社労士に相談しながら進めると安心です。設備投資や生産性向上の計画づくりとあわせて、専門家と連携して進めるのが現実的です。

Q. 申請の際に注意することはありますか

A. 助成額や助成率、対象経費、申請期間は年度ごとに見直され、変更されることがあります。必ず最新の交付要綱で確認してください。また、交付決定の前に設備を発注・購入すると対象外になることが一般的で、賃上げと設備投資のタイミングや順序にも要件があります。スケジュールの設計が成否を分けます。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

中央大学卒業。日系上場コンサルティング会社で3年勤務後、M&Aベンチャー執行役員を経て2022年に独立。BtoBマーケティング支援・FC加盟店開発・M&Aアドバイザリーを専門領域として、戦略設計から施策実行まで一気通貫で担う伴走型支援に取り組んでいる。

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