創業融資の事業計画書の書き方|公庫テンプレート8項目を業種別に解説
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創業融資の事業計画書の書き方|公庫テンプレート8項目を業種別に解説

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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創業融資の審査で最も時間がかかり、合否を左右するのが事業計画書の作成です。日本政策金融公庫に融資を申し込む際は「創業計画書」と呼ばれるA3用紙1枚のテンプレートに記入して提出しますが、8つの記入項目のうち、どこに力を入れるべきかがわからず手が止まる方が少なくありません。

この記事では、公庫の創業計画書テンプレートの8項目それぞれについて、書き方の実務的なポイントを解説します。飲食店・クリニック・美容室の業種別記入例も交えながら、審査担当者がどこを見ているのか、どんな数字を入れれば説得力が増すのかを具体的に整理しました。創業融資の全体像(制度概要・申請手順・審査ポイント)は創業融資の受け方ガイドで解説していますので、あわせてご確認ください。

創業計画書の全体像と審査での位置づけ

日本政策金融公庫の創業計画書は、公庫のWebサイトからダウンロードできるA3用紙1枚のフォーマットです。記入項目は以下の8つで構成されています。

項目番号項目名審査上の重要度
1創業の動機
2経営者の略歴等
3取扱商品・サービスの内容
4取引先・取引関係等
5従業員低〜中
6お借入の状況
7必要な資金と調達方法最重要
8事業の見通し(月別収支)最重要

審査担当者が最も時間をかけて確認するのは、7番「必要な資金と調達方法」と8番「事業の見通し」です。ここに根拠のある数字が入っているかどうかで審査の大部分が決まります。一方で、1番「創業の動機」と2番「経営者の略歴等」は面談での深掘り対象になるため、軽視すると面談で苦労します。

公庫のWebサイトには業種別の「創業計画書記入例」も公開されています。飲食業、美容業、介護サービス、建設業など14業種以上の記入例が無料でダウンロードできるので、自分の業種に近いものを入手してから書き始めてください。

項目1 創業の動機の書き方

「なぜこの事業を始めるのか」を記入する項目です。スペースは6〜7行程度しかないため、要点を絞って書く必要があります。

審査担当者が見ているのは、動機の「強さ」ではなく「合理性」です。情熱だけでなく、「なぜこの業種か」「なぜこのタイミングか」「なぜ自分がやるのか」の3つに答える内容になっているかがポイントになります。

書き方のポイント

動機は以下の3要素を含めると説得力が出ます。

  • 業種との接点(前職の経験、資格、スキル)
  • 市場の機会(地域にない業態、高齢化で需要増、競合が少ない等)
  • 開業の準備状況(物件確保済み、仕入先確定、資格取得済み等)

「子供の頃からの夢だった」「家族に喜ばれたい」といった個人的な動機だけでは不十分です。個人的な思いは1文で触れる程度にとどめ、残りは経験と市場環境をベースにした合理的な説明に充ててください。

業種別の記入例

飲食店の場合: 「和食店で10年間、調理および店舗運営に従事。うち3年間は副料理長として仕入れ管理・原価管理を担当。○○駅周辺は居酒屋が多い一方で、ランチ需要に応える和食店が少なく、商圏調査でも昼食時間帯の需要が確認できた。前職で培った仕入れルートと顧客基盤を活かし、ランチ主体の和定食店として開業する。」

クリニック(内科)の場合: 「内科医として総合病院で12年間勤務。糖尿病・生活習慣病の外来診療を専門としてきた。○○市は高齢化率32%と県平均を上回る一方、内科クリニックの数が人口あたりで全国平均を下回っている。勤務医時代の患者層と地域の医療ニーズが合致しており、かかりつけ医として地域医療に貢献する。」

項目2 経営者の略歴等の書き方

職歴・資格・スキルを時系列で記入する項目です。開業する業種との関連性が明確に読み取れることが重要です。

書き方のポイント

年月・勤務先・業務内容を簡潔に記載します。ただし単に職歴を並べるだけでなく、各職歴が開業後の事業にどう活きるかが読み取れるように書いてください。

記載すべき内容:

  • 業種に関連する勤務経験(年数を明記)
  • 管理職・マネジメント経験
  • 取得済みの資格・免許
  • 事業に関連する研修・セミナーの受講歴

異業種からの転身の場合は、前職のスキルと開業する事業の接点を明確にします。営業経験者が飲食店を開業するなら「顧客対応力・販促企画の経験」、IT業界出身者がスクールを始めるなら「教育コンテンツの企画・マーケティング経験」のように、転用可能なスキルとして表現してください。

美容室の記入例

年月内容
2014年4月○○美容専門学校 卒業、美容師免許取得
2014年4月株式会社△△(美容室チェーン)入社、スタイリストとして勤務
2018年4月同社 副店長に昇格。スタッフ5名のシフト管理・売上管理を担当
2021年4月同社 店長に昇格。月商400万円の店舗運営を統括
2025年3月管理美容師免許取得
2025年10月同社退職、開業準備に着手

技術者としての実績(指名客数、施術の得意分野など)も補足欄に書けると評価が上がります。

項目3 取扱商品・サービスの内容の書き方

提供する商品やサービスの具体的な内容を記入する項目です。3つの欄に分けて記載するフォーマットになっており、「取扱商品・サービスの内容」「セールスポイント」「販売ターゲット・販売戦略」を記入します。

書き方のポイント

商品・サービスは具体的に。「ランチ」ではなく「和定食ランチセット 800〜1,200円」のように、価格帯を含めて記載します。セールスポイントでは、競合との差別化要素を簡潔に。「価格が安い」ではなく「○○産の食材を直接仕入れることで、原価を抑えながら品質を維持」のように具体的な根拠を添えてください。

販売ターゲットは「近隣住民」のような漠然とした記載ではなく、「○○駅から徒歩5分圏内のオフィスワーカー(ランチ需要)」「半径2km以内の40〜60代住民(ディナー需要)」のように、ターゲットと商圏を明確に示します。

飲食店の記入例

取扱商品・サービスの内容:

  • 和定食ランチ(800〜1,200円)売上構成比60%
  • 夜の定食・一品料理(1,500〜3,000円)売上構成比30%
  • テイクアウト弁当(700〜900円)売上構成比10%

セールスポイント:

  • 前職の仕入れルートを活かし、○○漁港から直接仕入れた鮮魚を使用
  • ランチは11:30〜14:00の提供で、回転率を確保
  • 店舗はカウンター8席・テーブル12席の計20席。一人客からファミリーまで対応

項目4 取引先・取引関係等の書き方

仕入先・販売先・外注先を記入する項目です。具体的な取引先名を記入できると、事業の実現性が伝わります。

書き方のポイント

開業前の段階では「見込み」でも構いません。ただし、名前を書ける取引先が1社でもあると信頼度が変わります。仕入先は見積書を取得済みであれば「見積書あり」と補記してください。

販売先は、BtoCの店舗ビジネスの場合は「一般消費者」と記入し、商圏の人口・世帯数のデータを別紙で添付すると説得力が増します。BtoBの要素がある場合(法人向けケータリング、企業向け福利厚生契約など)は、具体的な法人名や契約見込みを記載してください。

外注先は、内装工事業者・会計事務所・Web制作会社など、実際に依頼する予定の業者名を記載します。開業に必要なパートナーが確定していることは、準備の進捗度を示す間接的な証拠になります。

項目5 従業員の書き方

常勤・パートの人数を記入する項目です。スペースは小さいですが、人件費計画の根拠になるため正確に書いてください。

1人で開業する場合は「常勤役員等 1名」「従業員 0名」と記載します。パート・アルバイトを雇用する場合は人数と勤務時間の見込みを記載し、8番「事業の見通し」の人件費と整合させてください。

注意すべきは、従業員数と人件費の整合性です。従業員2名・パート3名と記載しながら、人件費が月20万円では「数字が合っていない」と審査で指摘されます。最低賃金をベースに、地域の相場を確認した上で記載してください。

項目6 お借入の状況の書き方

既存の借入れ(住宅ローン、自動車ローン、カードローン等)を正直に記入する項目です。

書き方のポイント

ここは正直に書くことが絶対条件です。公庫は審査の過程で信用情報機関(CIC・JICC)に照会をかけるため、記載漏れは必ず発覚します。記載漏れが見つかると「虚偽申告」と判断され、審査が否決になるリスクがあります。

記載対象:

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 教育ローン
  • カードローン・キャッシング
  • 奨学金の返済
  • クレジットカードのリボ払い残高

住宅ローンは金額が大きくても、計画的な返済として評価されるためマイナスにはなりません。一方、カードローンやリボ払いの残高は、返済能力の圧迫要因として見られます。融資申込み前に完済できるものは完済しておくのが望ましいです。

事前にCICで信用情報の開示請求(手数料1,000円、オンライン即日取得可能)を行い、自分の記録を確認してから記入してください。

項目7 必要な資金と調達方法の書き方

審査の核心となる項目です。「いくら必要で、どう調達するか」を左右の欄に分けて記載します。左側に「必要な資金」、右側に「調達の方法」を記入し、合計金額を一致させます。

書き方のポイント

必要な資金は「設備資金」と「運転資金」に分けて記載します。設備資金の各項目には見積書を添付してください。見積書がない項目は審査で「根拠不明」と判断されます。

運転資金は「開業後、売上が安定するまでに必要な経費」を計上します。3ヶ月分が一般的な目安です。家賃・人件費・仕入れ・光熱費・広告宣伝費を月額で計算し、3ヶ月分を合計してください。

調達方法は「自己資金」「日本政策金融公庫からの借入」「親族からの借入」「他の金融機関からの借入」に分けて記載します。自己資金の比率は制度上の要件こそ撤廃されましたが、総額の2〜3割を自己資金で用意しているケースの方が審査は通りやすい傾向にあります。

飲食店(ランチ主体の和定食店)の記入例

必要な資金:

区分内訳金額
設備資金内装工事費450万円
設備資金厨房機器(中古含む)180万円
設備資金看板・什器・食器70万円
設備資金レジ・POSシステム30万円
運転資金食材仕入れ(3ヶ月分)75万円
運転資金家賃・共益費(3ヶ月分)90万円
運転資金人件費(3ヶ月分)120万円
運転資金広告宣伝費(開業時)35万円
運転資金光熱費・通信費(3ヶ月分)30万円
合計1,080万円

調達方法:

調達先金額
自己資金330万円
日本政策金融公庫700万円
親族からの借入50万円
合計1,080万円

設備資金は見積書を取得済みの金額を記入します。中古機器を活用してコストを抑えている場合は、その旨を備考に記載すると「コスト意識がある」と評価されます。

クリニック(内科)の記入例

区分内訳金額
設備資金内装工事費1,800万円
設備資金医療機器(電子カルテ・レントゲン・心電計等)1,200万円
設備資金什器・家具200万円
運転資金人件費(看護師2名・事務1名 × 3ヶ月)360万円
運転資金家賃(3ヶ月分)210万円
運転資金医薬品・消耗品(3ヶ月分)150万円
運転資金広告宣伝費80万円
合計4,000万円

クリニックの場合は融資額が大きくなるため、公庫と制度融資の併用が一般的です。医療機器の一部をリースにして設備資金を圧縮する方法もあります。リースを選択した場合は、月々のリース料を8番「事業の見通し」の固定費に含めてください。

美容室の記入例

区分内訳金額
設備資金内装工事費(居抜き物件を一部改装)250万円
設備資金シャンプー台・セット面80万円
設備資金什器・鏡・照明40万円
運転資金材料費(3ヶ月分)30万円
運転資金家賃(3ヶ月分)75万円
運転資金広告宣伝費25万円
合計500万円

美容室は居抜き物件を活用すると初期投資を大幅に抑えられます。居抜きの場合でも内装の改装費は見積書を取得してください。

項目8 事業の見通しの書き方

「創業当初」と「軌道に乗った後」の2パターンの月間収支を記入する項目です。ここが事業計画書の最難関で、審査で最も厳しくチェックされます。

書き方のポイント

事業の見通しで最も重要なのは、売上の「算出根拠」を書くことです。欄外に計算式を明記してください。

売上の分解例:

  • 飲食店: 客単価 × 席数 × 回転率 × 営業日数
  • クリニック: 1日患者数 × 診療単価 × 診療日数
  • 美容室: スタイリスト数 × 1日施術人数 × 客単価 × 営業日数

「創業当初」は計画値の50〜70%で見積もるのが現実的です。開業1〜3ヶ月はどの業種でも認知度が低く、集客が不安定になります。初月からフル稼働の売上を入れると「現実がわかっていない」と判断されます。

「軌道に乗った後」は開業6ヶ月〜1年後を想定します。稼働率100%ではなく、80〜90%程度の稼働を想定するのが無難です。

経費の記載では、以下の項目を漏れなく計上してください。

  • 売上原価(仕入れ・材料費)
  • 人件費(パート・アルバイト含む)
  • 家賃・共益費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 減価償却費
  • 支払利息
  • その他(消耗品、保険料、衛生費等)

利益から借入返済額を差し引いた金額がプラスになっていることが条件です。ここがマイナスだと「返済能力に疑問あり」と判断されます。

飲食店の収支シミュレーション例

項目創業当初(月額)軌道に乗った後(月額)
売上高120万円200万円
売上原価(原価率30%)36万円60万円
人件費30万円40万円
家賃30万円30万円
水道光熱費8万円12万円
広告宣伝費5万円3万円
減価償却費3万円3万円
その他経費5万円7万円
支払利息1.7万円1.7万円
利益1.3万円43.3万円

売上の算出根拠(欄外に記載):

  • 創業当初: 客単価1,000円 × 20席 × 回転率1.0回 × 営業日数25日 × 稼働率24% = 120万円
  • 軌道に乗った後: ランチ 客単価1,000円 × 20席 × 1.5回転 × 25日 × 稼働率80% = 600,000円 + ディナー 客単価2,500円 × 20席 × 0.8回転 × 25日 × 稼働率70% = 700,000円 + テイクアウト200,000円 = 合計200万円

クリニック(内科)の収支シミュレーション例

項目創業当初(月額)軌道に乗った後(月額)
売上高(保険診療)250万円500万円
医薬品・材料費30万円50万円
人件費(看護師2名・事務1名)120万円120万円
家賃70万円70万円
水道光熱費8万円10万円
リース料(医療機器)25万円25万円
その他経費15万円20万円
支払利息5万円5万円
利益▲23万円200万円

クリニックの場合、創業当初の赤字は想定内です。患者数が安定するまでの3〜6ヶ月間を赤字で計画しても、運転資金で持ちこたえられることを示せれば審査は通ります。

売上の算出根拠:

  • 創業当初: 1日患者数25名 × 平均診療報酬5,000円 × 20診療日 = 250万円
  • 軌道に乗った後: 1日患者数50名 × 平均診療報酬5,000円 × 20診療日 = 500万円

内科クリニックの1日患者数の全国平均は約40名(厚生労働省「医療施設動態調査」)。開業当初は全国平均の6割程度からスタートし、1年後に平均を上回る計画が現実的です。

クリニックの開業準備全体についてはクリニック開業ガイドで解説しています。

審査で評価される数字の根拠の作り方

事業計画書の数字は「もっともらしいこと」ではなく「検証可能であること」が求められます。審査担当者が確認するのは、数字そのものよりも「その数字の出どころ」です。

売上根拠に使えるデータソース

売上計画の根拠として使えるデータを整理します。

商圏分析データ:

  • 総務省統計局「国勢調査」(地域の人口・世帯数)
  • 経済産業省「商業統計」(地域の商業施設数・売上規模)
  • 自治体の「まちづくり計画」(再開発情報・人口動態予測)

業界平均データ:

  • 日本政策金融公庫「新規開業実態調査」(業種別の開業費用・月商)
  • 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」(業種別の売上・原価率・利益率)
  • 業界団体の統計データ(飲食: 日本フードサービス協会、美容: 厚生労働省 衛生行政報告例)

現地調査データ:

  • 物件周辺の歩行者通行量(時間帯別に計測)
  • 競合店舗の客入り状況(実際に足を運んで確認)
  • 前職での顧客リスト・指名客数

これらのデータを組み合わせて、「このエリアでこの業態なら、月商○万円が見込める」という根拠を構築します。審査面談では「この数字はどこから来ていますか?」と聞かれるため、データの出典を手元に用意しておいてください。

原価率・経費率の目安

数字の妥当性を確認するための業種別の目安を整理します。

業種原価率の目安人件費率の目安家賃比率の目安
飲食店(一般)28〜35%25〜35%8〜12%
カフェ25〜30%20〜30%10〜15%
美容室8〜12%40〜50%10〜15%
クリニック5〜15%30〜40%10〜15%
フィットネスジム5〜10%25〜35%15〜20%
介護サービス5〜10%55〜65%8〜12%

計画書の数字がこの範囲から大きく外れている場合は、審査で「なぜこの数字なのか」を説明する準備が必要です。原価率が業界平均より低い場合は、仕入れルートや調達方法の根拠を示してください。

事業計画書で差がつく補足資料の作り方

A3用紙1枚の創業計画書だけでは伝えきれない情報を、補足資料として添付することで審査の評価が上がります。補足資料は義務ではありませんが、用意している申込者は「準備がしっかりしている」という印象を与えます。

月別の収支計画表

創業計画書の8番では「創業当初」「軌道に乗った後」の2パターンしか書けませんが、補足資料として12ヶ月分の月別収支計画を添付すると、売上がどう立ち上がるかの見通しが明確になります。

具体的には、開業1ヶ月目の売上を計画値の50%、2ヶ月目を60%、3ヶ月目を70%と段階的に上げていき、6ヶ月目以降に100%に到達するイメージです。このグラデーションがあることで「現実的な計画を立てている」と評価されます。

商圏分析レポート

物件の立地を中心とした商圏分析を1〜2ページにまとめます。

含める項目:

  • 物件の地図と周辺環境
  • 半径500m〜1km圏内の人口・世帯数
  • 最寄り駅の乗降客数
  • 競合店舗のリスト(業態・距離・特徴)
  • 歩行者通行量(平日/休日、時間帯別)

エリアごとの人口・世帯数データは当社のエリアマーケティングデータベースでも確認できます。商圏分析の出発点としてご活用ください。

収支シミュレーション(ストレステスト)

「計画どおりにいかなかった場合」を想定したシミュレーションです。売上が計画の70%・50%に落ちた場合でも返済を継続できるかを試算します。

シナリオ月商月間利益返済額返済後の手残り
計画値100%200万円43.3万円6.8万円36.5万円
計画値70%140万円13.3万円6.8万円6.5万円
計画値50%100万円▲6.7万円6.8万円▲13.5万円

70%シナリオでも返済可能であることを示せると、審査担当者の安心感につながります。50%シナリオで赤字になる場合は、「その状況が○ヶ月続いても運転資金で持ちこたえられる」ことを運転資金の額で示してください。

事業計画書の作成でやりがちな失敗

計画書の内容以前に、作成プロセスでの失敗が審査に響くケースがあります。

見積書を1社からしか取らない

設備資金の見積書が1社だけだと、金額の妥当性を証明できません。内装工事・主要機器は最低2社から見積もりを取り、比較検討した上で選定してください。「相見積もりを取って、コスト面で合理的な判断をした」という事実が評価されます。

売上と経費の整合性が取れていない

席数20席と書いておきながら、売上計算で30席分を前提にしている。従業員3名と書いておきながら、人件費が1名分しか計上されていない。こうした矛盾は審査で一発で見抜かれます。

計画書を書き終えたら、必ず項目間の整合性をクロスチェックしてください。

チェック項目:

  • 席数・スタッフ数 × 回転率 = 売上の計算が合っているか
  • 従業員数 × 月給 = 人件費の計算が合っているか
  • 設備資金の合計 + 運転資金の合計 = 必要な資金の合計が合っているか
  • 必要な資金の合計 = 調達方法の合計が一致しているか

自分の生活費を計画に含めない

開業後3〜6ヶ月は自分の給料が出ない前提で、個人の生活費を別枠で確保しておく必要があります。この点は創業融資の受け方ガイドでも解説していますが、計画書の「運転資金」に経営者の生活費を含めるか、別途自己資金で確保するかを明確にしてください。

補助金を調達方法に含めてしまう

補助金は「後払い」のため、開業時の調達手段としては使えません。調達方法の欄に補助金を入れると「制度を理解していない」と判断されます。補助金は融資で確保した資金とは別の計画として整理してください。補助金の活用については補助金の選定戦略ガイドで詳しく解説しています。

記入を終えたら面談の準備へ

事業計画書を書き終えたら、次のステップは公庫の面談です。面談では計画書に書いた内容を口頭で説明することになります。

面談で必ず聞かれるのは「売上計画の根拠」「競合との差別化」「事業の経験」の3点です。計画書に書いた数字をそらで説明できる状態にしておいてください。「計画書に書いてあるとおりです」では評価は上がりません。

計画書の作成と並行して、物件の写真・商圏の地図・競合調査のメモといった補足資料を用意しておくと、面談当日に「この人は本気で準備している」という印象を持ってもらえます。

面談から融資実行までのスケジュールや、審査で見られるポイントの全体像は創業融資の受け方ガイドにまとめています。計画書の作成に着手する前に、融資全体の流れを確認しておくことをおすすめします。


よくある質問

Q. 事業計画書は自分で書けますか?

A. 日本政策金融公庫のWebサイトに業種別のテンプレートと記入例が公開されており、自分で作成できます。売上計画の数字を根拠付きで組み立てることが求められるため、数字の組み立てに不安がある場合は税理士や商工会議所に相談するのが確実です。

Q. 創業計画書と事業計画書は何が違いますか?

A. 創業計画書は日本政策金融公庫が融資審査用に提供しているA3用紙1枚のフォーマットです。事業計画書はより広い概念で、経営全般の計画を自由な形式でまとめた書類を指します。公庫の融資申込みでは創業計画書の提出が必須で、補足資料として独自の事業計画書を添付することもできます。

Q. 事業計画書の数字が実績と違った場合、問題になりますか?

A. 計画書はあくまで見通しなので、実績が計画と異なること自体は問題になりません。ただし根拠のない楽観的な数字を書いた場合、審査で指摘を受けます。「なぜその数字になるのか」の算出根拠を説明できることが重要です。

Q. 売上計画の根拠はどう作ればいいですか?

A. 売上を構成要素に分解するのが基本です。飲食店なら「客単価×席数×回転率×営業日数」、美容室なら「スタイリスト数×1日施術人数×客単価×営業日数」のように因数分解し、各数値の根拠を商圏データや業界平均から示します。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

マーケティング支援の実務経験を活かし、BtoB/BtoCの戦略設計から施策実行まで150件超のプロジェクトを統括。地場の店舗ビジネスからスタートアップ、上場企業まで、現場に入り込んで再現性あるマーケティングを構築する。セミナー支援では企画・運営・登壇まで一気通貫で手がける。

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