BtoBのLPに広告費を月50万円投下しても、CVR1%ではリード5件。同じ50万円でもCVRを3%に改善すればリード15件——LP設計の差がそのまま商談パイプラインの太さに直結します。
BtoBのLP設計がBtoCと根本的に異なるのは、訪問者の目的が「社内稟議を通すための材料」にある点です。派手な演出よりも、信頼と合理性を伝える構成が成果を左右します。
本コラムでは、BtoB特有のLP構成要素(課題提起→解決策→信頼性→CTA)のワイヤーフレーム設計から、フォーム最適化、広告とのメッセージ一貫性まで、CVRに直結する実務を解説します。
BtoB と BtoC で LP 設計が変わる理由
BtoC の LP は「感情を動かして今すぐ行動させる」設計が基本です。一方、BtoB では訪問者が社内稟議を通す必要があり、論理的に納得できる材料を提供することが優先されます。
BtoB の訪問者がLPにたどり着く時点では、おおむね次のような状態です。
- 課題は認識しているが、解決策をまだ比較検討中
- 社内で共有・説明できる情報を求めている
- 「この会社に任せて大丈夫か」を判断したい
この前提に立つと、LP に求められるのは派手な演出ではなく、「信頼」と「合理性」です。
| 観点 | BtoC の LP | BtoB の LP |
|---|---|---|
| 訴求の軸 | 感情・衝動 | 論理・信頼 |
| 意思決定者 | 本人 | 複数人(稟議) |
| 検討期間 | 短い(即決もある) | 長い(数週間〜数か月) |
| 重視される要素 | ビジュアル・限定感 | 実績・事例・数値 |
ファーストビューの設計
LP の成否はファーストビューでほぼ決まります。スクロールせずに見える範囲で、訪問者に「自分に関係のあるページだ」と認識してもらう必要があります。
キャッチコピー
ターゲットが抱えている課題を、できるだけ具体的な言葉で表現します。「業務効率化を支援」のような抽象的な表現ではなく、「月次レポートの作成工数を半分にする」のように、訪問者の日常業務に踏み込んだ言い回しが有効です。
| NG例(抽象的) | 改善例(具体的) |
|---|---|
| 営業を効率化するツール | 見積もり作成を10分で完了。営業事務を80%削減 |
| マーケティングを支援します | リード獲得から商談化まで、月50件の商談パイプラインを構築 |
| 人事管理をDXする | 採用〜入社手続きをワンストップで。管理工数を月20時間削減 |
キャッチコピーの文字数は25〜40字が目安。長すぎると視認性が落ち、短すぎると具体性が伝わりません。訪問者の検索キーワードと一致する語句を自然に含めると、広告との一貫性とSEO効果の両方を得られます。
サブコピー
キャッチコピーだけでは伝えきれない、解決策の方向性やサービスの概要を 1〜2 文で補足します。キャッチコピーが「課題の言語化」なら、サブコピーは「解決の入り口」です。
ビジュアル
BtoB では、抽象的なイメージ画像よりも実際のプロダクト画面やサービスの利用シーンが効果的です。訪問者が導入後のイメージを持てるかどうかが、スクロールを続けるかの判断材料になります。
プロダクトの管理画面やダッシュボードのスクリーンショットを掲載する場合、個人情報はモザイク処理し、成果が出ている数字だけを強調表示するのが定番の手法。コンサルティングサービスのように画面がないサービスでは、支援プロセスを図解したインフォグラフィックや、担当者の顔写真で信頼感を演出する方が効果的です。
構成要素の配置順序
ファーストビュー以降の構成は、訪問者の心理に沿った流れで設計します。
課題提起
訪問者が感じている課題を言語化し、「自分のことだ」と共感を得るパートです。箇条書きで 3〜5 個の課題を挙げるのが一般的ですが、ただ並べるだけでなく、「その課題を放置するとどうなるか」まで触れると、先を読む動機が生まれます。
解決策の提示
自社サービスがどのように課題を解決するかを説明します。ここでよくある失敗は、機能の一覧をそのまま並べてしまうことです。
訪問者が知りたいのは「何ができるか」ではなく「自分の課題がどう解消されるか」なので、課題と解決策を対にして示す構成が効果的です。
実績と信頼性要素
BtoB の LP 設計において、信頼性の担保は最重要テーマの一つ。次の4要素を組み合わせて配置するのが定石です。
- 導入社数・継続率などの数字 — 定量的な実績は、社内稟議の材料にもなる
- 導入企業のロゴ一覧 — 業界内で認知度の高い企業名があると、安心感が大きく高まる
- 導入事例の要約 — 「どんな課題を持つ企業が、どう改善したか」を簡潔に示す
- 受賞歴・メディア掲載 — 第三者からの評価は、自社発信の情報より信頼されやすい
CTA(行動喚起)
LP の中で最もコンバージョンに直結する要素で、CVR改善の具体的な考え方はLP CVR改善の実務でも整理しています。配置は 1 箇所ではなく、ファーストビュー・中間・最下部の最低 3 箇所に設けてください。
ワイヤーフレーム設計の実務手順
LP設計はいきなりデザインツールを開くのではなく、ワイヤーフレーム(WF)で構成を固めるのが鉄則です。BtoBのLPでは特に、情報の優先順位と論理構成を視覚化する段階が成果を大きく左右します。
手順1 — 情報の棚卸しと優先順位
まず、LP に載せる情報を洗い出します。課題提起、サービス概要、特長、実績・事例、料金、FAQ、CTA——すべてをリストアップしたうえで、訪問者の検討プロセスに沿って並べ替えてください。
BtoBのLP設計で陥りがちな失敗は、社内で伝えたい順に情報を並べること。訪問者が知りたい順(課題の共感→解決策の理解→信頼の確認→行動)に再構成する意識が必要です。
手順2 — セクション単位のラフスケッチ
各セクションを幅960px前後のブロックとして、テキストとビジュアルの大まかな配置を決めます。ツールは以下のいずれでも対応可能です。
| ツール | 特長 | 向いているケース |
|---|---|---|
| Figma | チーム共有・コメント・デザインへの移行が容易 | デザイナーと連携するプロジェクト |
| Whimsical | WF特化で操作が軽い。テンプレート豊富 | WFだけを素早く作りたい場合 |
| Googleスライド | 導入不要。非デザイナーでも扱いやすい | 社内共有・合意形成が目的 |
| 紙とペン | 最速で構成を検討できる | 初期ブレスト・1人で検討する場合 |
手順3 — コピーの仮置きとレビュー
WFの段階でキャッチコピー、サブコピー、CTA文言を仮置きし、社内(またはクライアント)のレビューを通してください。デザイン完成後にコピーを差し替えると、レイアウト崩れや訴求のズレが発生しやすくなります。コピーとWFは同時に固めるのが効率的。
CTA の文言とデザイン
CTA の文言は「送信する」「申し込む」ではなく、訪問者が得られる価値を含めた表現にします。
| NG 例 | 改善例 |
|---|---|
| 送信する | 3 分でわかるサービス資料をダウンロード |
| 申し込む | まずは無料で相談する |
| 詳細はこちら | 導入事例を見る |
ハードルの低さと具体的なメリットを同時に伝えることが重要です。
また、検討段階が異なる訪問者に対応するために、ハードルの異なる CTA を複数用意するのも有効です。「資料ダウンロード」(低ハードル)と「個別相談」(高ハードル)を並置することで、幅広い層のコンバージョンを拾えます。
ボタンのデザインは、ページ内で視覚的に目立つ配色とサイズを確保しつつ、周囲に十分な余白を取ることで視線を誘導します。
フォーム設計との連動
LP とフォームは一体で設計するのが鉄則。LP の訴求内容とフォームの項目数・文言がちぐはぐだと、フォーム到達後の離脱が増えてしまいます。フォームの最適化手法についてはEFO(入力フォーム最適化)の実務で詳しく整理しています。
項目数の目安
| CV 種別 | 推奨項目数 | 例 |
|---|---|---|
| 資料ダウンロード | 3〜4 項目 | 氏名・メールアドレス・会社名・役職 |
| 問い合わせ | 5〜7 項目 | 上記 + 電話番号・検討時期・相談内容 |
営業が必要とする追加情報は、ナーチャリングの過程で取得する設計にした方が、入り口の CVR は確実に上がります。
埋め込み型か別ページか
フォームを LP 内に埋め込むか、別ページに遷移させるかも設計上の判断ポイント。
| 方式 | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 埋め込み型 | ページ遷移による離脱を防げる | LPが長くなる、表示速度に影響する場合がある | 資料DLなど項目数が少ないCV |
| 別ページ遷移 | LP本体の表示速度を維持できる | 遷移時の離脱リスクがある | 問い合わせなど項目数が多いCV |
一般的には、項目数が4以下なら埋め込み型、5以上なら別ページが無難です。別ページに遷移させる場合、フォームページにもLPと同じキャッチコピーやサービス概要を要約表示することで離脱率を抑えられます。
ステップフォームの活用
フォーム項目が5つを超える場合、すべてを1画面に表示するとCVRが下がる傾向にあります。ステップフォーム(2〜3画面に分割して進行するフォーム)を採用すると、最初の画面で心理的ハードルの低い項目(業種・従業員規模など)から入力を始められるため、完了率が上がるケースが多く見られます。
ステップフォームの設計原則は、最初の画面を2〜3項目に絞ること、進捗バーを表示すること、「あと1ステップ」など残りの目安を提示すること。各ステップの入力データはフォーム未完了でもリードとして取得できる仕組みにしておくと、途中離脱したユーザーへのフォローも可能になります。
広告と LP のメッセージ一貫性
BtoB の LP は、リード獲得広告やメールなどの流入元とセットで設計する必要があります。広告で訴求した内容と LP のファーストビューにズレがあると、訪問者は「思っていた情報と違う」と判断して離脱します。
たとえば広告で「工数削減」を訴求しているのに、LP のファーストビューで「売上向上」を前面に出していると、訪問者の期待と実際のコンテンツが噛み合いません。
流入経路ごとの最適化アプローチを整理します。
- リスティング広告 — 検索キーワードごとに LP を出し分ける
- SNS 広告 — クリエイティブの訴求軸に合わせてファーストビューを調整する
- メール — セグメントごとに訴求内容を変えた LP へ誘導する
モバイル表示の最適化
BtoBのLPはPCからのアクセスが中心と思われがちですが、リスティング広告やSNS広告からの流入ではモバイル比率が40〜60%に達することも珍しくありません。PC版のデザインをそのまま縮小するだけでは、CTAボタンのタップ領域不足やフォーム入力の困難さでCVRが大幅に下がります。
モバイル対応で押さえるべきポイントは以下のとおり。
- CTAボタンは幅100%・高さ48px以上を確保し、親指で確実にタップできるサイズにする
- 電話番号はタップで発信できるリンクにする(BtoBでも電話問い合わせは一定数ある)
- テーブルは横スクロールにするか、SP向けにカード型レイアウトへ変換する
- フォームの入力欄は指で操作しやすい間隔を取り、input typeをemailやtelに設定してキーボードを最適化する
ファーストビューのキャッチコピーは、PCとSPで表示文字数が大きく異なります。PC用の長いコピーをそのまま流用すると改行位置がずれて可読性が落ちるため、SPでは短縮版を用意するか、レスポンシブで文字サイズを調整してください。
LP 公開前チェックリスト
LP を制作して終わりにせず、公開前にセルフチェックを行うことでCVR改善の余地を事前に潰せます。以下はBtoB LP向けの最低限の確認項目です。
ファーストビュー
- キャッチコピーが訪問者の課題を具体的に言語化しているか
- 広告のキーワード・訴求軸とファーストビューのメッセージが一致しているか
- CTAボタンが1スクロール以内に配置されているか
構成・コンテンツ
- 「課題→解決策→信頼性→CTA」の論理構成になっているか
- 導入事例や数字(導入社数・継続率)が掲載されているか
- 機能一覧ではなく「課題と解決策のペア」で訴求しているか
CTA・フォーム
- CTAが3箇所以上に配置されているか(ファーストビュー・中間・最下部)
- CTA文言が「送信する」ではなく価値訴求型(「資料をダウンロード」等)になっているか
- フォーム項目数がCV種別に対して適切か(資料DLなら3〜4項目)
技術・計測
- GTM(Googleタグマネージャー)でコンバージョンイベントが発火しているか
- ページ表示速度がモバイルで3秒以内か
- OGP画像とdescriptionが設定されているか
まとめ
BtoB の LP 設計は、見た目の完成度よりも訪問者の心理に沿った構成が成果を左右します。本コラムで解説した要点を振り返ります。
- ファーストビューで課題への共感を得る
- 構成は「課題 → 解決策 → 信頼性 → CTA」の流れで組み立てる
- CTA は複数箇所に配置し、ハードルの異なるオファーを用意する
- フォームは LP と一体で設計し、項目数を最小限に抑える
- 広告と LP のメッセージに一貫性を持たせる
また、LP は単体で完結するものではなく、広告やフォームとの連動で初めて機能します。制作後もA/BテストやLPOを通じてデータを見ながら改善を重ねることで、成果は着実に積み上がっていきます。
LP設計の改善に着手する際は、まずファーストビューのキャッチコピーとCTAの文言から見直すのが効率的です。この2要素だけでCVRが大きく動くケースが多く、開発コストも低いため最初に取り組む施策として適しています。
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