飲食店が活用できる補助金・助成金2026年度版|シーン別5制度の選び方と申請実務
経営・資金調達

飲食店が活用できる補助金・助成金2026年度版|シーン別5制度の選び方と申請実務

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

SHARE

飲食店の経営環境は、人件費上昇・食材原価高騰・人手不足・デジタル化の遅れという4重の課題に直面しています。これらの課題を補助金・助成金で乗り越える事業者と、自己資金だけで対応する事業者の収益性には明確な差が生まれています。2026年度は、IT導入補助金のデジタル化・AI導入補助金への名称変更、事業再構築補助金の新事業進出補助金への移行など、制度面の大規模な刷新が進みました。

  • 5つの主要補助金の全体像 — 持続化・デジタル化AI導入・ものづくり・新事業進出・省力化投資
  • シーン別の最適な制度選び — 厨房機器更新/店舗改装/集客強化/食材原価高騰対策/開業
  • 申請の8段階実務フロー — 公募確認から入金までのリードタイムと必要書類
  • 事業計画書の書き方 — 採択率を上げる数値根拠と独自性の出し方
  • 飲食店特有の注意点 — 食品衛生法・補助対象外経費・採択=確定ではない仕組み
  • 失敗パターンと回避策 — フライング発注・実績報告不備・行政書士法違反

この記事では、飲食店経営者が2026年度に活用できる補助金・助成金を体系的に整理します。飲食店の開業は飲食店の開業ガイド、集客は飲食店の集客方法、事業再構築の事例は事業再構築補助金を飲食店が活用する完全ガイドにまとめているため、合わせて参照してください。

飲食店を取り巻く補助金環境

2026年度の構造変化

2026年度の飲食店向け補助金は、3つの構造変化を踏まえて選定する必要があります。

  1. IT導入補助金 → デジタル化・AI導入補助金 へ名称変更(2026年3月30日申請開始)。AI活用が補助対象に明示的に追加。
  2. 事業再構築補助金 → 新事業進出補助金 へ移行。要件が「事業転換」から「新規事業への進出」へ変更。
  3. 中小企業省力化投資補助金の拡充。自動化機器・ロボット導入で上限1,500万〜1億円まで拡大。

これらの変化は、飲食店の人手不足・原価高騰・デジタル化の遅れに対応した政策誘導の結果で、設備投資型の補助金が大幅に強化されています。

飲食店業界の構造課題

帝国データバンク・東京商工リサーチの調査では、2024〜2026年に飲食店の倒産件数が高止まりしています。

課題影響
人件費上昇最低賃金引き上げで人件費が年5〜8%上昇
食材原価高騰主要食材で前年比10〜30%の値上がり
人手不足有効求人倍率4倍超で人材確保困難
デジタル化の遅れPOS・予約・キャッシュレスの導入率が低い
エネルギー価格上昇ガス・電気代が前年比20%以上の負担増

これらの課題に対して補助金活用は、設備投資による効率化・販路開拓による売上増・人材教育による定着率改善で対応する有効な手段です。

飲食店向け補助金の全体マップ

飲食店が活用できる主要5制度をマップ化します。

飲食店向け補助金の用途×金額マップ 対象範囲(用途の広さ) 補助金額 1億円 2,500万円 450万円 50万円 持続化補助金 50〜250万円 デジタル化AI 5〜450万円 ものづくり 750〜2,500万円 新事業進出 最大6,000万円 省力化投資 1,500万〜1億円

このマップから読み取れるのは、用途が広く小規模事業者向けの持続化補助金から、規模拡大・新規事業向けの大型補助金まで、補助金の選択肢は事業フェーズと投資規模で大きく変わるということです。

主要5制度の詳細

1. 小規模事業者持続化補助金

従業員5人以下の小規模飲食店向けの主力制度です。

項目内容
補助上限一般型50万円 / 創業型200万円 / 特例で最大250万円
補助率2/3(賃上げで3/4)
対象経費機械装置等費・広報費・展示会等出展費・開発費・委託費
補助対象事業期間約6ヶ月
公募時期年4回(春・夏・秋・冬)
申請窓口商工会議所・商工会

飲食店での活用例:

  • ホームページ・予約システムの新規構築(広報費)
  • 看板・店頭POP・チラシ作成(広報費)
  • 厨房機器の入れ替え(機械装置等費)
  • 新メニュー開発・試作費(開発費)
  • ECサイト構築・テイクアウト導入(機械装置等費)

小規模事業者持続化補助金は商工会議所の経営指導員との連携が必須で、申請の事前準備期間に最低1ヶ月かかる前提で計画します。

2. デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

2026年度より名称変更された、DX関連の主力制度です。

項目内容
補助上限通常枠50〜450万円 / インボイス枠50〜450万円
補助率1/2〜4/5
対象経費ITツール(ソフトウェア・クラウド利用料)
補助対象事業期間約6ヶ月
公募時期2026年3月30日〜複数回
申請窓口デジタル化・AI導入補助金事務局

飲食店での活用例:

  • POSレジ・キャッシュレス決済の導入
  • 予約管理システム・顧客管理ソフト
  • 在庫管理・発注システム
  • AI需要予測・自動発注システム
  • 勤怠管理・シフト管理ソフト

2026年度の特徴は、AI活用が補助対象に明示的に追加されたことです。AI需要予測システムで発注業務の時間を96%削減した事例も報告されており、AIツール導入の絶好の機会になっています。

3. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

設備投資型の中規模補助金で、厨房機器更新・店舗大規模リニューアル向けです。

項目内容
補助上限750〜2,500万円
補助率1/2〜2/3
対象経費機械装置・システム構築費・専門家経費・運搬費
補助対象事業期間10ヶ月〜14ヶ月
公募時期年2〜3回(3月・6月・9月頃)
申請窓口ものづくり補助金事務局

飲食店での活用例:

  • 自動調理ロボット・自動洗浄機の導入(FLコスト削減)
  • 省エネ型厨房機器の入れ替え(エネルギーコスト削減)
  • 店舗大規模リニューアル(集客力強化)
  • 新業態への転換に伴う設備投資

事例として、調理ロボット導入でFLコストを8%削減した飲食店もあります。本格的な省力化投資に最適な制度です。

詳細: ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を製造業が活用する完全ガイド2026

4. 新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継)

事業の新分野進出・業態転換向けの大型制度です。

項目内容
補助上限最大6,000万円(従業員規模により変動)
補助率1/2〜2/3
対象経費建物費・機械装置等費・システム構築費・専門家経費
補助対象事業期間12ヶ月〜24ヶ月
公募時期年2回程度
申請窓口新事業進出補助金事務局

飲食店での活用例:

  • 既存飲食店からのテイクアウト・デリバリー専門店への進出
  • 食品製造・卸売事業への進出
  • 観光・宿泊業との連携事業
  • フランチャイズ展開の本部機能整備

事業再構築補助金時代の飲食店活用事例は事業再構築補助金を飲食店が活用する完全ガイドに4,405件の採択事例から見た活用パターンを整理しています。

5. 中小企業省力化投資補助金

人手不足対応の大型制度で、自動化機器・ロボット導入向けです。

項目内容
補助上限1,500万円〜1億円(従業員規模により変動)
補助率1/2〜2/3
対象経費省力化機器・自動化システム
補助対象事業期間12ヶ月〜18ヶ月
公募時期年2〜3回(3月公募・5月締切等)
申請窓口中小企業省力化投資補助金事務局

飲食店での活用例:

  • 自動調理ロボット・自動配膳ロボット
  • セルフレジ・自動精算機
  • AI予約システム・自動発注システム
  • 食器自動洗浄ライン

人手不足解消が直接的な目的の制度のため、飲食店との親和性が極めて高い補助金です。

シーン別の最適な制度選び

シーン1: 厨房機器の入れ替え・新設

老朽化した厨房機器の入れ替えや新規導入の場合、用途と金額で制度を選びます。

投資規模推奨制度補助率
50〜200万円小規模事業者持続化補助金2/3
200〜450万円デジタル化・AI導入補助金(IoT連携機器)1/2〜4/5
450〜2,500万円ものづくり補助金1/2〜2/3
2,500万円超中小企業省力化投資補助金1/2〜2/3

老朽化が進んだ厨房機器の更新は省エネ・省力化と販路拡大を兼ねる投資のため、補助金の親和性が高い領域です。

シーン2: 店舗改装・内装リフォーム

集客力強化・客席増設・新業態展開のための改装は、目的と規模で制度を選びます。

投資規模推奨制度補助率
50〜250万円小規模事業者持続化補助金2/3
200〜450万円デジタル化AI(改装+デジタル機器)1/2〜4/5
450〜2,500万円ものづくり補助金(大規模リニューアル)1/2〜2/3
2,500万円超新事業進出補助金(新業態転換)1/2〜2/3

店舗改装は単純な内装更新ではなく、集客力強化・客単価向上・新メニュー対応のいずれかと紐づけて事業計画書を構成するのが採択のコツです。

シーン3: 集客施策

ホームページ刷新・ECサイト構築・SNS運用・チラシ配布等の販路開拓に活用できます。

施策推奨制度上限
ホームページ・予約システム持続化補助金(広報費)50〜250万円
ECサイト・テイクアウト導入持続化補助金 or デジタル化AI50〜450万円
POSレジ・CRMシステムデジタル化AI導入補助金50〜450万円
AI需要予測・自動発注デジタル化AI導入補助金50〜450万円

集客施策は補助金の対象範囲が広く、複数施策を組み合わせて申請するのが効率的です。詳細な集客手法は飲食店の集客方法を参照してください。

シーン4: 食材原価高騰対策

食材費の補助は補助金対象外ですが、コスト削減のための設備・システム投資は対象になります。

対策推奨制度効果
AI需要予測で食材ロス削減デジタル化AI導入補助金食材費10〜20%削減
自動発注システムデジタル化AI導入補助金在庫圧縮・原価率改善
メニュー再設計・新商品開発持続化補助金(開発費)利益率改善
厨房機器入替で歩留まり改善ものづくり補助金原価率2〜5%改善

食材原価高騰は補助金で直接的に対応できませんが、AI・自動化システムの導入で間接的に原価削減を実現できます。

シーン5: 開業・事業承継

新規開業や事業承継のタイミングでは、創業期向けの補助金が活用できます。

局面推奨制度上限
新規開業時の販路開拓小規模事業者持続化補助金(創業型)200〜250万円
開業時の大規模設備投資ものづくり補助金750〜2,500万円
親族外承継・第三者承継事業承継・引継ぎ補助金600〜800万円
自治体独自の創業助成事業東京都・各自治体創業助成200〜400万円

詳細: 飲食店の開業ガイド

申請の8段階実務フロー

標準的なタイムライン

公募開始から入金までは6ヶ月〜1年が標準です。

ステップ期間主な作業
1. 目的の言語化1〜2週間「なぜ・何のために・どんな効果を」
2. 候補制度の2つに絞る1週間3〜5制度を比較→2つに絞る
3. 必要書類の準備2〜4週間営業許可証・登記簿・決算書・賃金台帳
4. gBizIDプライム取得2〜4週間電子申請の前提
5. 商工会議所等で計画書発行依頼1〜2週間持続化補助金で必須
6. 事業計画書作成・提出2〜4週間採択の核心
7. 採択→交付申請→交付決定1〜3ヶ月採択後の手続きが続く
8. 事業実施→実績報告→入金6ヶ月〜1年実績報告で要件適合確認

採択発表前にフライング発注すると補助対象外になるため、交付決定後に発注する原則を厳守します。

必要書類の標準セット

ほとんどの補助金で共通して必要になる書類です。

  • 申請書(各補助金の様式)
  • 事業計画書(5〜20ページ、補助金別の様式)
  • 直近2〜3期の決算書
  • 法人登記簿謄本(個人事業主は開業届の写し)
  • 納税証明書(国税・地方税)
  • 飲食店営業許可証の写し
  • 食品衛生責任者の資格証
  • 賃金台帳(直近6ヶ月分)
  • 設備導入計画書(機器仕様・見積書)
  • 商工会議所等の事業支援計画書(持続化補助金で必須)

gBizIDプライムの取得

ほとんどの補助金が電子申請のため、gBizIDプライムの取得が必須です。

  • 申請から取得まで2〜4週間
  • 印鑑証明書・代表者写真付き身分証明書が必要
  • 補助金申請を決めた時点で並行取得

gBizIDプライム取得が完了していないと申請開始日に間に合わないことがあります。

事業計画書の書き方

採択される計画書の5要素

採択される事業計画書には、以下の5要素が明確に整理されています。

  1. 現状の課題(数値で示す)
    • 例:「人件費率35% / 食材原価率30% / 営業利益率3%」
  2. 補助金活用の目的(課題との対応関係)
    • 例:「AI需要予測導入で食材ロス15%削減を目指す」
  3. 実施内容(具体的な機器・施策)
    • 例:「機器A 80万円 / システムB 月額5万円 / 研修費30万円」
  4. 期待効果(数値目標)
    • 例:「食材原価率30%→25% / 営業利益率3%→6%」
  5. 中長期の経営ビジョン(3〜5年)
    • 例:「3年後に2号店出店 / 5年後に法人化」

数値根拠の出し方

抽象的な表現を数値表現に置き換えると採択率が明確に上がります。

抽象表現(NG)数値表現(OK)
業務効率化を目指す注文受付時間を10分→3分に短縮
集客力を強化月間来店数1,500人→2,200人
食材ロスを削減食材ロス率5%→2%、年間60万円削減
人件費を最適化人件費率35%→28%
売上を伸ばす月商800万円→1,200万円(2年目)

公的データの引用元

事業計画書で説得力を持たせるための引用データ源です。

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
  • 経済産業省「商業統計調査」
  • 中小企業庁「中小企業実態基本調査」
  • 帝国データバンク「全国企業倒産集計」
  • 各種業界団体の調査レポート

これらの一次データを引用すると審査側への訴求力が大きく上がります。

飲食店特有の注意点

食品衛生法・営業許可の整備

補助金申請の前提として、以下の許認可整備が必須です。

許認可申請先期限
飲食店営業許可保健所開業前
食品衛生責任者選任保健所開業前
防火管理者選任(30席以上)消防署開業前
深夜酒類提供届(0時以降の酒類提供)警察署開業10日前

これらが整っていないと補助金申請も不採択になります。

補助対象外経費の理解

飲食店経営に直結する経費の多くが補助対象外です。

対象外経費補助対象外の理由
食材費通常の運転資金
人件費(オーナー含む)通常の運転資金
家賃・光熱費通常の固定費
既存設備の修繕投資ではなく維持費
中古品(ものづくり等)新品が対象
既存ローン・借入返済補助金の趣旨外

補助対象は「新規投資・販路開拓・新商品開発・DXツール導入・店舗改装」の事業の成長に資する経費に限定されます。

採択=確定ではない仕組み

補助金は採択後の交付決定通知をもって正式確定になります。

段階状態
応募申請を受け付けた状態
採択審査委員会で選ばれた状態(交付確定ではない)
交付申請採択後に詳細な経費明細を提出
交付決定補助金の正式確定
事業実施交付決定後にのみ発注可能
実績報告事業完了後に書類提出
確定検査実績の事務局確認
入金確定検査後に振込

採択発表から実際の入金まで6ヶ月以上かかります。フライング発注は補助対象外になるため厳守します。

よくある失敗パターンと回避策

失敗パターン1: フライング発注で対象外

採択発表後に「もう買って大丈夫」と判断して発注し、交付決定前の発注で対象外になるパターンです。

回避策は、交付決定通知書を受領してから発注するルールを徹底することです。事務局へ問い合わせれば交付決定見込み日を確認できます。

失敗パターン2: 必要書類の準備不足

決算書・賃金台帳・許認可証の整備が間に合わず、申請期限直前に書類不備で申請できないパターンです。

回避策は、申請を決めた時点で必要書類リストを作成し、税理士・社会保険労務士と書類整備のスケジュールを共有することです。

失敗パターン3: 事業計画書の数値根拠不足

「集客強化」「業務効率化」のような抽象表現が並び、審査側が採択判断できない事業計画書を提出するパターンです。

回避策は、現状値・目標値・改善幅を必ず数値で示すことです。

失敗パターン4: 実績報告の不備で返還命令

事業完了後の実績報告で、領収書紛失・設置写真不足・運用記録の欠落で要件適合が確認できず、補助金返還命令が出るパターンです。

回避策は、申請段階から実績報告に必要な書類リストを作成し、事業実施中の領収書・写真・運用記録を確実に保管することです。

失敗パターン5: 行政書士法違反のグレーゾーン委託

無資格者(コンサル等)に書類作成を全面委託し、行政書士法違反のリスクを抱えるパターンです。

回避策は、行政書士有資格者が在籍する事業者に依頼することです。コンサル会社の場合は、提携行政書士の有無を契約前に確認します。

詳細: 補助金申請代行の費用・手数料相場と選び方

公開採択事例から見える飲食店の活用パターン

採択事例DBから飲食店の採択計画を読み解くと、事業再構築補助金ではテイクアウト・デリバリー専門店への業態転換やセントラルキッチン整備、ものづくり補助金では自動調理ロボット・自動洗浄機・省エネ厨房機器の導入、小規模事業者持続化補助金ではホームページ刷新・店舗改装・新メニュー開発の3パターンが頻出します。記事末尾の採択事例カードで実例を確認できます。コロナ禍以降は新業態への進出が継続的な採択トレンドで、テイクアウト・通販事業の組み合わせが目立つ傾向です。

業態別の補助金活用パターン

飲食店は業態によって補助金との相性が異なります。自店舗の業態に応じた制度選択を整理します。

個人経営の小規模店舗(席数20席以下)

固定費が低く、設備投資の絶対額も小さい小規模店舗は、持続化補助金が中心になります。

重点制度活用例期待効果
小規模事業者持続化補助金チラシ・看板・ホームページ刷新来店客数 月+50〜100名
デジタル化AI(下限枠)POSレジ・予約システム導入オペレーション効率化
持続化補助金(創業型)新規開業時の販路開拓開業初年度の集客強化

小規模店舗は補助金の事務負担が経営に与える影響も大きいため、商工会議所の経営指導員との連携をしっかり活用するのが定石です。

中規模店舗(席数20〜50席・年商5,000万円〜2億円)

複数スタッフを抱える中規模店舗は、設備投資と販路開拓の両面で補助金活用ができます。

重点制度活用例期待効果
デジタル化AI導入補助金厨房・客席のIoT化・AI需要予測食材ロス15%削減
ものづくり補助金厨房大規模リニューアルFLコスト5〜10%削減
業務改善助成金賃上げ+設備投資の同時実施人材定着率向上
持続化補助金新メニュー開発・販促強化客単価10〜15%向上

中規模店舗は複数補助金の併用で年間1,000万円超の助成を受ける事例もあります。

多店舗展開・チェーン店

複数店舗を運営する事業者は、本部機能の強化・新規出店・新業態展開で大型補助金を活用できます。

重点制度活用例期待効果
新事業進出補助金新業態への展開・新規出店売上規模拡大
中小企業省力化投資補助金自動調理・配膳ロボットの本格導入人件費20〜30%削減
ものづくり補助金セントラルキッチン整備仕入れ・原価管理の集約
雇用関係助成金各種人材確保・教育スタッフ定着率向上

多店舗展開の段階で、本部機能(購買・人事・経理・販促)の集約に補助金活用するパターンが効果的です。

テイクアウト・デリバリー専門店

新業態として注目度が高いテイクアウト・デリバリー専門店は、IT化と販路開拓の補助金が中心です。

重点制度活用例期待効果
デジタル化AI補助金ECサイト構築・予約システムオンライン受注比率向上
持続化補助金デリバリーバイク・包装資材導入配達対応力強化
新事業進出補助金既存業態からの新業態展開売上構成の多角化

コロナ禍以降の業態転換需要は継続しており、テイクアウト・デリバリー導入での補助金活用は依然として効果が大きい領域です。

採択事例から学ぶ成功パターン

事例パターン1: 厨房機器更新でFLコスト改善

自動調理ロボット・自動洗浄機の導入で、FLコスト(食材費+人件費)を5〜10%改善した事例パターンです。

事業計画書の構成:

  • 課題: FLコスト62%(食材費32% / 人件費30%)で営業利益率3%以下
  • 目的: ものづくり補助金を活用した自動調理ロボット導入
  • 効果: 調理時間30%削減・人員1名削減・人件費年間400万円減
  • 投資: 自動調理ロボット2台×400万円+周辺機器200万円=合計1,000万円
  • 補助: ものづくり補助金 補助率2/3 = 666万円

このような数値で論理的に構成された事業計画書は採択されやすい傾向があります。

事例パターン2: AI需要予測で食材ロス削減

AI需要予測システム導入で、食材ロスを大幅削減した事例パターンです。

事業計画書の構成:

  • 課題: 食材ロス率8%・廃棄食材費年間240万円
  • 目的: デジタル化AI導入補助金でAI需要予測+自動発注システム導入
  • 効果: 食材ロス率8%→3%・廃棄食材費年間240万円→90万円
  • 投資: AIシステム月額15万円×12ヶ月+導入費30万円=合計210万円
  • 補助: デジタル化AI 補助率2/3 = 140万円

データドリブンな改善ストーリーは審査側への訴求力が高くなります。

事例パターン3: ECサイト構築で売上多角化

テイクアウト・通販向けECサイト構築で、店舗売上に依存しない収益構造を作る事例パターンです。

事業計画書の構成:

  • 課題: 月商800万円中、店舗売上98%でテイクアウト2%
  • 目的: 持続化補助金でECサイト構築・オンライン販売開始
  • 効果: 月商800万円→1,000万円(EC比率20%)
  • 投資: ECサイト構築120万円+システム月額3万円
  • 補助: 持続化補助金 補助率2/3 = 80万円

販路多角化のストーリーは持続化補助金で採択されやすい構成です。

補助金と他の資金調達手段の組み合わせ

補助金は受給まで6ヶ月〜1年かかるため、補助金単独では設備投資の資金繰りが回りません。他の資金調達手段との組み合わせが現実的です。

日本政策金融公庫の創業融資との併用

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、補助金との併用が最も多いパターンです。

項目内容
融資上限3,000万円(無担保・無保証)
金利約1.5〜2.5%(年度・条件で変動)
据置期間最大2年
返済期間設備資金20年・運転資金10年
自己資金要件創業資金総額の10%以上

補助金交付前の設備購入資金として融資を活用し、補助金受領後に繰り上げ返済する流れが標準的です。

自治体の創業融資・利子補給

都道府県・市町村が独自に実施する創業融資制度は、金利優遇・利子補給で実質金利を抑えられます。

  • 東京都中小企業制度融資
  • 大阪府制度融資・大阪市制度融資
  • 各都道府県・市町村の創業融資制度

地元自治体の中小企業相談センター・産業振興公社で詳細確認できます。

補助金受領前のつなぎ融資

補助金交付決定後の事業実施期間中の運転資金として、銀行のつなぎ融資が活用できます。日本政策金融公庫の補助金交付決定者向けの専用融資商品もあります。

補助金活用の年間運用フロー

飲食店経営者が補助金を計画的に活用するための年間運用フローです。

4〜6月: 年度公募の確認と申請準備

  • 各補助金の年度公募要領を入手
  • 自店舗の重点課題を整理
  • 申請する補助金を2〜3本に絞り込む
  • 事業計画書のドラフト作成
  • gBizIDプライム取得申請

7〜9月: 申請と二次公募対応

  • 一次公募の申請完了
  • 不採択の場合、二次公募に向けて改善
  • 採択された補助金の交付申請・事業実施開始

10〜12月: 事業実施と中間進捗管理

  • 設備導入・施策実施を進行
  • 領収書・写真・運用記録を逐次保存
  • 二次〜三次公募の追加申請検討

1〜3月: 実績報告と次年度準備

  • 事業完了→実績報告書の作成・提出
  • 補助金受領
  • 次年度の公募情報の早期キャッチアップ

飲食店の補助金活用は、5制度を組み合わせた中長期戦略として設計することが重要です。シーン別の制度選定・採択率の高い事業計画書の作成・フライング発注の回避・実績報告の確実な実施という4点を押さえることで、補助金の事業ROIを最大化できます。

補助金申請の事業計画書作成・複数制度の組み合わせ戦略・行政書士連携体制の整備は、ローカルマーケティングパートナーズで個別支援が可能です。飲食店経営者向けの集客支援と経営支援を一気通貫で伴走します。


飲食店の補助金活用や経営支援のご相談はローカルマーケティングパートナーズへ

事業計画段階から実績報告まで、補助金活用と店舗成長の現場知見をもとに伴走支援します。

無料相談はこちら

実際の採択事例

公開された採択結果から、本記事のテーマに該当する事例をピックアップしています(出典: 各補助金事務局公開情報)。

第11回

先端的な急速冷凍機導入による冷凍調理食品製造業への業種転換GX

本事業では、既存事業の強みである高級中華料理の技術・ノウハウ等や、飲食料品小売業との深い関係性を活用して、先端的な急速冷凍機導入による冷凍調理食品製造業に取組み、リ スクの高い大胆な業種転換GXを行う。

茨城県つくば市 / 宿泊業,飲食サービス業 詳細 →

第11回

飲食チェーン運営から自社ブランドの立ち上げ・フランチャイズ展開

1.外食事業(自社ブランドの飲食店立ち上げ)「石窯パンと産直野菜のビストロ事業」→グルテンアレルギーフリーのパンの開発や自社農園で収穫された野菜を使用した身体に良い 自然派の料理の提供を行う。2.フランチャイズ事業「石窯パンと産直野菜のビストロ店のFC化」→地産地消と有機野菜をコンセプトにした飲食店をフランチャイズ化し全国展開

愛知県春日井市 / 宿泊業,飲食サービス業 詳細 →

第11回

高級志向で地元消費を推進する、地域発のデザイナーズ焼肉店の運営

現在のデザイン事業から異なる業種である焼肉店の経営を行います。既存事業で培った店舗デザインやシステム開発を活かし、高級志向で地元消費を推進する、地域発のデザイナーズ焼 肉店の運営を致します。

愛知県名古屋市昭和区 / 学術研究,専門・技術サービス業 詳細 →

※ 公開採択事例の概要です。詳細は 採択事例DB を参照してください。

よくある質問

Q. 飲食店が活用できる主な補助金は何ですか

A. 5制度を組み合わせて活用するのが定石です。小規模事業者持続化補助金(上限50〜250万円)、デジタル化・AI導入補助金(上限450万円)、ものづくり補助金(上限750〜2,500万円)、新事業進出補助金(事業再構築後継)、中小企業省力化投資補助金(上限1,500万〜1億円)が中心。シーン別に厨房機器更新/店舗改装/集客強化/食材原価高騰対策で使い分けます。

Q. 個人経営の飲食店でも補助金は使えますか

A. 個人事業主でも法人と同等に補助金を活用できます。とくに小規模事業者持続化補助金は従業員5人以下の小規模事業者向けで、個人経営の飲食店との親和性が高い制度です。広告宣伝費・店舗改装費・設備購入費・新メニュー開発費等が補助対象になります。

Q. 厨房機器の更新で使える補助金は何ですか

A. ものづくり補助金・中小企業省力化投資補助金・デジタル化AI導入補助金が中心です。省エネ型厨房機器・自動調理機・自動洗浄機等の導入で1/2〜2/3の補助率、上限450万〜2,500万円が活用できます。複数機器の同時導入で投資効果が大きく出るタイミングが申請の好機です。

Q. 補助金申請から入金までどのくらいかかりますか

A. 公募開始から入金まで6ヶ月〜1年が標準です。公募開始→申請(1〜2ヶ月)→採択発表(1〜3ヶ月)→交付申請(2〜4週間)→事業実施(2〜6ヶ月)→実績報告(1ヶ月)→入金(1〜2ヶ月)の流れになります。設備購入は採択後の交付決定後でないと補助対象外になるため、フライング発注に注意してください。

Q. 飲食店特有の注意点はありますか

A. 食品衛生責任者の選任・飲食店営業許可・防火管理者選任の3点は申請前に必ず整備しておきます。さらに食材費・人件費・固定費は補助対象外です。補助対象は設備投資・販路開拓・新商品開発・DXツール導入・店舗改装等の「事業の成長に資する経費」に限定されます。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

中央大学卒業。日系上場コンサルティング会社で3年勤務後、M&Aベンチャー執行役員を経て2022年に独立。BtoBマーケティング支援・FC加盟店開発・M&Aアドバイザリーを専門領域として、戦略設計から施策実行まで一気通貫で担う伴走型支援に取り組んでいる。

LinkedIn
PILLAR GUIDE 店舗のSEO対策 ガイド記事を読む

店舗集客の改善を相談する

地域密着型ビジネスの集客設計を得意としています。サービス内容は資料で確認できます

店舗支援の現場知見 / 初回相談無料 / 秘密厳守