【約1,200件分析】中小企業の補助金マップ2026 採択率・業種別・地域別の全体像
経営・資金調達

【約1,200件分析】中小企業の補助金マップ2026 採択率・業種別・地域別の全体像

執筆: 山本 貴大

監修: 山本 貴大

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補助金は制度ごとに採択率が26%から71%まで2.7倍以上も違います。同じ「中小企業向けの補助金」でも、どの制度を選び、どのタイミングで申請するかで採択されやすさは大きく変わります。本稿では、2026年5月時点で募集中の補助金約1,200件を独自に集計したデータと、主要3制度の公開された採択結果をもとに、業種別・地域別・制度別の全体像を可視化します。自社が「どの補助金を狙うべきか」を判断する材料として活用してください。

補助金市場は自治体補助金が82%を占め、補助率は1/2が標準、東京都に補助金が集中する一方で地方の特定県も充実しています。主要3制度の採択率はものづくり補助金が31〜37%で安定、事業再構築補助金は26〜48%で変動、IT導入補助金は枠全体で約69%と高めながら最終回で急落しました。この記事では、これらのデータから読み取れる戦略的な制度選びの実務インサイトを5つにまとめます。

補助金市場の全体像 募集中約1,200件のデータ分析

当社が運用する補助金データベースから、2026年5月時点で募集情報のある補助金約1,200件を集計しました。まずは市場全体の構造を見ていきます。

自治体補助金が全体の82%を占める

実施主体の内訳を見ると、都道府県が40%、市区町村が38%、特別区が4%で、自治体が実施する補助金が合わせて82%を占めます。国が実施する補助金は18%にとどまりました。

ニュースで取り上げられる補助金は「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」など国の大型制度が中心ですが、実際に募集されている補助金の数では自治体補助金が圧倒的多数です。地元の都道府県・市区町村が独自に実施する補助金は、対象事業者がそのエリアに限定されるぶん、全国規模の制度より競合が少ない可能性があります。本社所在地の自治体補助金を確認することは、補助金活用の基本戦略になります。

募集中の補助金が87%

集計対象のうち、現在募集中(受付中)の補助金が約87%を占めました。残りは受付終了済みです。補助金は通年で新しい制度が公募開始されるため、定期的に最新情報を確認することで申請機会を逃さずに済みます。

補助率は1/2が標準、4/5以上はわずか

補助率が明示されている297件を分析すると、補助率1/2が184件(62%)と最多でした。続いて3/4が33件、1/3以下が23件、定額・全額が23件、2/3が20件、4/5以上が14件です。

ここから読み取れるのは、補助率4/5以上の高補助率制度は補助率明示分のわずか4.7%(14件)と希少だという事実です。事業計画は補助率1/2を前提に組み立て、補助対象経費の半分は自己資金で賄う設計にしておくのが現実的です。なお、補助率が公募要領で明示されていない(公募開始前・状況依存)補助金が871件あり、全体の74%を占めます。データの透明性のため補足すると、補助率・上限額ともに未指定の比率が高く、これは募集予告段階の補助金や、申請内容に応じて補助率が変動する制度が一定数含まれているためです。

補助金額は「100〜500万円帯」と「1億円以上」に二極化

上限額が明示されている335件の分布を見ると、1億円以上が81件と最多でした。一方で100万〜300万円が43件、300万〜500万円が46件と、100〜500万円帯にも89件が集中しています。

大型の設備投資・事業再構築を支える1億円超の補助金と、小規模事業者が販路開拓に使う100〜500万円帯の補助金に二極化しているのが特徴です。自社の投資規模に合った金額帯の制度を選ぶことが、要件適合の第一歩になります。

主要3制度の採択率推移 制度ごとの性格を読む

ここからは、各事務局が公開している採択結果データをもとに、主要3制度の採択率の推移を見ていきます。同じ補助金でも、制度ごとに採択率の動き方には明確な性格の違いがあります。

ものづくり補助金 安定型(31〜37%)

ものづくり補助金の直近5公募回の採択結果は次の通りです。

公募回採択発表申請者数採択者数採択率
18次2024年6月5,7772,07035.8%
19次2025年7月5,3361,69831.8%
20次2025年10月2,45382533.6%
21次2026年1月1,87263834.1%
22次2026年4月1,55258237.5%

注目すべきは、申請者数が18次の5,777件から22次の1,552件へと約27%の水準まで減少しているにもかかわらず、採択率は31.8〜37.5%の狭い帯で安定している点です。申請数の減少は、補助金申請のハードルが事業者に理解され、要件を満たさない無理な申請が減ったためと考えられます。採択率が安定している制度は、事業計画の質を高めれば採択を見込みやすい環境といえます。

事業再構築補助金 変動型(26〜48%)

事業再構築補助金は、公募回によって採択率が大きく変動します。

公募回採択発表申請件数採択件数採択率
第10回2023年9月10,8215,20548.1%
第11回2024年2月9,2072,43726.5%
第12回2024年11月7,6642,03126.5%
第13回2025年6月3,1001,10135.5%

第10回の48.1%から第11回の26.5%へ、採択率が21.6ポイントも急落しました。コロナ禍からの事業再構築需要が一巡し、審査が厳格化した局面です。その後、第13回では35.5%へ回復しています。申請件数も第10回の10,821件から第13回の3,100件へと約7割減少しており、「本当に事業再構築が必要な事業者」に申請が絞られてきた構図がうかがえます。採択率の変動が大きい制度では、公募回ごとの傾向を確認したうえで申請判断をすることが欠かせません。

IT導入補助金 高採択率も最終回で急落

IT導入補助金2024の年間集計は、枠によって採択率が分かれます。

申請数採択数採択率
通常枠25,14016,54065.8%
インボイス対応類型44,19831,36271.0%
全体69,57148,09969.1%

IT導入補助金は、ものづくり補助金や事業再構築補助金と比べて採択率が高い制度です。通常枠で65.8%、インボイス対応類型で71.0%でした。ただし注意が必要なのは、通常枠の採択率は当初75%を超える水準で推移していたものの、最終公募回(7次締切)では申請5,573者に対して採択1,454者と、採択率が26.1%まで急落した点です。これは補助金の予算が枯渇したためとされています。

IT導入補助金のように予算枠が定められている制度では、年度後半の最終公募回ほど採択率が下がる傾向があります。採択率が高い制度であっても、予算が潤沢な早い公募回で申請することが採択率を高める実務的な戦略になります。

業種別の補助金マップ

募集中の補助金約1,200件を業種タグ別に集計しました。主要業種の対象補助金数は次の通りです(1件の補助金が複数業種を対象とする場合は重複してカウント)。

業種対象補助金数
製造業540
ソフトウェア・SaaS394
小売349
建設344
クリニック・医療336
飲食店333
運送・物流323
美容・サロン317
不動産313
学習塾・スクール311

特徴的なのは、主要業種のいずれも300件以上の対象補助金があり、業種による偏りが比較的小さいことです。製造業向けがやや多いものの、サービス業・小売・医療・飲食などにも幅広く補助金が用意されています。

ここから言えるのは、「自社の業種に特化した補助金」を探すより、複数業種を対象とする汎用補助金で要件を満たす方が現実的だということです。実際、業種を限定しない汎用補助金が多数を占めており、業種特化型の制度は相対的に少数です。補助金選びでは、業種の枠にとらわれず、投資目的と金額帯から候補を絞るアプローチが有効です。

都道府県別の補助金マップ

自治体補助金の地域差を見るため、都道府県別に補助金数を集計しました。上位は次の通りです。

都道府県補助金数
東京都256
神奈川県110
宮城県94
静岡県59
滋賀県52
岡山県36
北海道34
愛知県29

東京都が256件で突出しており、2位の神奈川県110件の約2.3倍です。大都市圏に補助金が集中する傾向は明確ですが、宮城県94件、滋賀県52件、岡山県36件など、特定の地方県も補助金が充実しています。

業種と地域を掛け合わせて見ると、東京都はすべての主要業種で対象補助金数が最多でした。一方、東京都以外では滋賀県の存在感が際立ち、製造業向け39件、ソフトウェア・SaaS向け38件と、ものづくり産業が盛んな県の特徴が補助金構成にも表れています。

地方の事業者にとって、国の補助金は全国どこでも申請できるため地域による不利はありません。加えて、地元自治体の補助金は対象が限定されるぶん競合が少ない可能性があり、東京の事業者より採択されやすい局面もあり得ます。地元の都道府県・市区町村の補助金を丁寧に探すことが、地方事業者の補助金戦略の鍵になります。

戦略的な補助金選び 5つの実務インサイト

ここまでのデータ分析を、実際の補助金活用に落とし込んだ5つのインサイトにまとめます。

  1. 自治体補助金を狙う。募集中の補助金の82%は自治体補助金です。国の大型制度に注目が集まりがちですが、地元の都道府県・市区町村の補助金は競合が少ない可能性があり、本社所在地の制度を必ず確認する価値があります。

  2. 申請タイミングを読む。IT導入補助金の最終回が26.1%まで急落し、事業再構築補助金の第11回が21.6ポイント下落したように、採択率は公募回ごとに大きく変動します。予算枯渇前の早い公募回での申請が採択率を高めます。

  3. 制度疲れを利用する。ものづくり補助金は申請数が約4分の1に減少した一方で採択率は安定しています。要件を理解した本気の申請であれば採択を見込みやすい環境です。申請数の減少局面は、しっかり準備した事業者にとってむしろ好機になり得ます。

  4. 業種特化より汎用補助金。主要業種はいずれも300件以上の対象補助金があり、業種を限定しない汎用補助金が多数を占めます。自社業種だけに絞らず、投資目的と金額帯から候補を広く探すほうが現実的です。

  5. 補助率1/2を前提に設計する。補助率4/5以上の制度は希少です。事業計画は補助率1/2を前提に、補助対象経費の半分は自己資金で賄える資金計画にしておくことで、採択後の事業実行もスムーズになります。

まとめ

補助金は、制度ごとに採択率も性格も大きく異なります。ものづくり補助金のように採択率が安定した制度、事業再構築補助金のように公募回で変動する制度、IT導入補助金のように高採択率ながら予算枯渇で急落する制度と、それぞれの動き方を理解したうえで申請計画を立てることが重要です。

そして、ニュースで目立つ国の大型補助金だけでなく、全体の82%を占める自治体補助金にも目を向けることで、選択肢は大きく広がります。自社の投資目的・金額・所在地に合った制度を、採択率の傾向とあわせて見極めることが、補助金を活用した事業成長への近道になります。

補助金の選定や事業計画書の作成でお悩みの場合は、当社のセミナー支援・経営支援サービスでもご相談を承っています。自社の事業フェーズと投資計画に合った制度選びから、採択を見据えた計画づくりまで、実務に即したサポートを提供します。

データ出典

  • ものづくり補助金 採択結果(全国中小企業団体中央会 事務局)
  • 事業再構築補助金 採択結果(中小企業基盤整備機構 事務局)
  • IT導入補助金2024 交付決定事業者一覧(サービスデザイン推進協議会)
  • 募集中補助金約1,200件の集計(当社補助金データベース、2026年5月時点)

よくある質問

Q. 補助金の採択率はどのくらいですか?

A. 制度によって大きく異なります。主要制度の直近データでは、ものづくり補助金が31〜37%、事業再構築補助金が26〜48%、IT導入補助金(2024年)が枠全体で約69%でした。同じ「補助金」でも採択率には2.7倍以上の差があり、制度選びの段階で採択されやすさは大きく変わります。

Q. 採択率の高い補助金はどれですか?

A. 直近のデータではIT導入補助金が比較的高い採択率でした。2024年の通常枠は65.8%、インボイス対応類型は71.0%です。ただしIT導入補助金は予算枯渇に伴い最終公募回で採択率が26.1%まで急落した実績があり、申請タイミングによって採択率が大きく変動します。採択率の数字だけで選ぶのではなく、公募回ごとの傾向を確認することが重要です。

Q. 自治体補助金と国の補助金、どちらが採択されやすいですか?

A. 一概には言えませんが、募集されている補助金の数では自治体補助金が圧倒的に多いです。当社が集計した募集中の補助金約1,200件のうち、都道府県・市区町村が実施する自治体補助金が82%を占め、国の補助金は18%でした。地元の自治体補助金は対象事業者が限定されるぶん競合が少ない可能性があり、本社所在地の補助金を必ず確認することをおすすめします。

Q. 業種によって補助金の有利不利はありますか?

A. 募集されている補助金の数で見ると、業種による偏りは大きくありません。製造業・小売・建設・クリニック・飲食など主要業種はいずれも300件以上の対象補助金があり、業種特化型の補助金より、複数業種を対象とする汎用補助金が多い構造です。自社の業種に特化した補助金を探すより、汎用補助金で要件を満たす方が現実的なケースが多くあります。

Q. 東京以外の地方事業者は補助金で不利ですか?

A. 国の補助金は全国どこでも申請できるため、地方であることが直接の不利にはなりません。一方で自治体補助金の数は地域差が大きく、当社集計では東京都が256件と最多で、神奈川県110件の約2.3倍でした。ただし宮城県94件、滋賀県52件など、特定の地方県も補助金が充実しています。地元自治体の補助金は数が限られるぶん競合も少ない可能性があり、地域の制度を丁寧に探すことが鍵になります。

Q. 採択率を上げるにはどうすればいいですか?

A. 事業計画書の質と公募要領への適合度が採択を分ける主要因です。加えて、採択率が比較的安定している制度を選ぶ、予算枯渇前の早い公募回で申請する、補助率1/2を前提に自己資金を確保しておく、といった戦略も有効です。採択率は制度・公募回によって変動するため、最新の公募状況を確認したうえで申請計画を立てることをおすすめします。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

中央大学卒業。日系上場コンサルティング会社で3年勤務後、M&Aベンチャー執行役員を経て2022年に独立。BtoBマーケティング支援・FC加盟店開発・M&Aアドバイザリーを専門領域として、戦略設計から施策実行まで一気通貫で担う伴走型支援に取り組んでいる。

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