新規事業立ち上げコンサルの選び方 契約形態で見極める判断軸
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新規事業立ち上げコンサルの選び方 契約形態で見極める判断軸

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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新規事業立ち上げのコンサル選びでよく耳にするのが、「比較記事を読んでもどこに頼むべきか判断できない」という声です。検索すると「おすすめ12社」「大手5社比較」のような記事が並びますが、会社名を並べられても、自社の状況にどのモデルがフィットするかの軸が見えません。

コンサル選びで本当に見るべきは、会社名ではなく契約形態です。月額顧問型・プロジェクト型・成果報酬型・共同創業型の4つに分けて理解すると、自社の予算・人員体制・事業フェーズに合った選択ができます。

本記事では、新規事業立ち上げコンサルを契約形態別に整理し、それぞれの向き不向きを、国内外35社超の調査結果をもとに解説します。

  • コンサル会社は契約形態の違いで4分類できる
  • 各形態には向く事業フェーズ・予算・社内体制が存在する
  • 中堅・中小企業は「実行支援まで担う伴走型」を選ぶと成功確率が上がる
  • 共同創業型は新業態・店舗・FCの立ち上げで注目が集まっている新しい選択肢
新規事業コンサルの4つの契約形態

新規事業コンサルは契約形態で4分類できる

既存の比較記事は「船井総合研究所」「グッドパッチ」「Relic」「リブ・コンサルティング」のように会社名を並べて紹介する構成が一般的です。しかし会社名の羅列だけでは、自社に合う会社を絞り込めません。

実態として、新規事業コンサルは4つの契約形態に分かれます。

月額顧問型は、月額20〜100万円で継続的に助言・定例ミーティングを行う形態です。船井総合研究所、タナベコンサルティング、リブ・コンサルティング、シナプス、グローカルなどが代表例です。コンサルタントの知見を継続的に得られる反面、実行は自社で担う必要があります。

プロジェクト型は、3〜6ヶ月の期間を区切り、市場調査・戦略策定・PoC設計などを成果物として納品する形態です。グッドパッチ、ビービット、コンセント、才流、ドリームインキュベータなどが該当します。アウトプットが明確な反面、プロジェクト終了後の実行は依頼側の責任になります。

成果報酬型は、新規獲得数・商談数・売上など特定KPIを達成した分に応じて報酬が発生する形態です。ブリーチ、ピアラ、売れるネット広告社など、D2C・EC領域のレベニューシェア型マーケ支援で主流です。広告費をコンサル側が立て替える場合もあり、クライアントの初期費用負担が小さいのが特徴です。

共同創業型は、支援会社がJV設立・資本参加・運営コミットまで踏み込み、クライアントと一緒に事業を立ち上げる形態です。Relic、quantum、Hakuhodo JV Studio、BCG Digital Ventures、SUNDREDなどが国内外で確立しています。

4つの形態を並べると、関与深度と報酬構造が段階的に変わっていくことが見えます。どの形態が優れているということではなく、自社のフェーズ・予算・体制に合う形態を選ぶことが重要です。

月額顧問型 知見は得られるが実行は自社

月額顧問型は、新規事業コンサル市場で最も広く普及しているモデルです。10ヶ月や12ヶ月など期間を区切って月額フィーを支払い、定例会議・経営会議同席・市場調査レポート・アクションプラン作成などを受けます。

費用相場は月額20〜100万円で、コンサル会社の規模と担当者のランクで決まります。船井総合研究所、アクアネット、タナベコンサルティング、リブ・コンサルティング、シナプス、中小企業向けのグローカルなどが主戦場。年間200〜1,200万円のフィー予算が目安です。

月額顧問型の強みは、継続的な知見の提供と経営層との伴走です。社内に新規事業の経験者がいない企業にとって、外部の経験豊富なコンサルタントが定例会議に入ってくれるのは大きな価値があります。業種別のノウハウを蓄積した会社(船井総研の飲食・小売・住宅・介護、タナベの中堅企業向け経営支援など)は、業種特有の成功パターンを持ち込んでくれます。

弱点は実行の分離です。戦略や計画の策定まではコンサルが担いますが、マーケ施策の実行、採用、商品開発、営業活動といった日々のオペレーションは自社でやる必要があります。社内に実行人材がいない企業では、戦略が机上に留まって事業が動かないケースが頻発します。

月額顧問型が向くのは、社内に実行人材が揃っていて、経営判断の壁打ち相手と業種別ノウハウを求める企業です。逆に実行人材が不足している企業は、別の形態を選ぶべきです。

プロジェクト型 成果物は明確、その後が課題

プロジェクト型は、3〜6ヶ月の期間で特定の成果物を納品するモデルです。市場調査レポート、事業計画書、プロトタイプ、PoC結果、戦略提言書などが主なアウトプットです。

費用相場は1プロジェクトあたり300〜1,000万円。戦略ファーム系(ドリームインキュベータ、デロイトトーマツベンチャーサポート、アビームコンサルティング)の本格プロジェクトは年間2,000万円を超えるケースも珍しくありません。デザインコンサル系(グッドパッチ、ビービット、コンセント)はUI/UX設計込みで500〜2,000万円のレンジです。

プロジェクト型の強みは、ゴールとアウトプットが明確なことです。「このプロジェクトで何を得るか」が契約時に定義されるため、経営層の予算承認が下りやすく、社内説明もしやすい構造になります。戦略コンサル出身者や事業開発経験者がチームに入るため、短期間で質の高いアウトプットが出ます。

弱点はプロジェクト後の実行です。プロジェクト終了後、納品された事業計画を実行するのは依頼側ですが、実行フェーズで「計画通りに進まない」「仮説が崩れた」といった状況に陥ると、コンサルの関与は終わっているため、孤独な意思決定を迫られます。

プロジェクト型が向くのは、経営層の意思決定の根拠として第三者の戦略レポートが必要な企業、または複数事業アイデアから1つに絞り込む意思決定支援を求める企業です。実行フェーズの支援まで一気通貫で欲しい企業は、月額顧問型の伴走やプロジェクト後の継続契約を前提に選ぶべきです。

成果報酬型 D2Cで完成、店舗・FCには移植しづらい

成果報酬型は、新規獲得数・商談数・売上などのKPIを達成した分に応じて報酬が発生するモデルです。新規事業立ち上げというより、既存事業のマーケ支援や事業拡大フェーズの支援で使われることが多い形態です。

代表例は株式会社ブリーチ(東証グロース、9162)。広告費をブリーチ側で肩代わりし、新規ユーザー獲得数×合意単価でレベニューシェアを受領する完全成果報酬モデルで、売上146億円(23年6月期)規模まで成長しました。ピアラ、売れるネット広告社、エンライク、ジェイフロンティアなども同様のレベシェア型・成果報酬型を採用しています。

成果報酬型の強みはクライアントの初期費用負担の小ささです。広告費も支援側が立て替えるケースがあり、広告費+コンサルフィーの大きな先行投資なしで新規獲得に動けます。支援側も成果にコミットするため、両者のインセンティブが揃います。

ただし、成立条件は限定的です。LTVが計算できる商材(定期コース前提の単品リピート通販など)でないとレベシェアの計算ロジックが組めません。ブリーチ・ピアラがD2C・EC領域に集中しているのはこのためです。店舗・FC領域、BtoB SaaS、コンサルティングサービスのようにLTVの予測精度が低い事業では、成果報酬型は成立しにくいのが実態です。

加えて、成果報酬型は支援会社側の利幅が薄く、事業選定を外すと大きな損失につながるリスクがあります。ブリーチ自身が26年6月期2Q累計で経常利益マイナス700万円の赤字に転落(新規商材の立ち上げ遅れが原因)、ピアラも売上157億円に対して営業利益0.4億円と利益率が薄く、コミット型の構造的な課題が顕在化しています。

成果報酬型が向くのは、定期型・サブスク型・リピート購入型のD2C・EC事業を既に運営または立ち上げる企業です。店舗・FC・BtoB新規事業には別の契約形態(共同創業型)が選択肢になります。

新規事業の立ち上げとマーケの実行までセットで考えたい場合の全体像は、新規事業立ち上げ支援のサービス設計 にも整理しています。

共同創業型 リスク共有と実行コミットを両立する新しい選択肢

共同創業型は、支援会社がJV設立・資本参加・運営コミットまで踏み込み、クライアントと一緒に事業を立ち上げる形態です。新規事業コンサル市場では最も新しい形態で、国内では2015年以降に登場したモデルです。

代表例は株式会社Relic(4,000社・2万事業関与、27社グループ体制)、博報堂DYのquantum(共同創業100社超)とHakuhodo JV Studio(3年で30社のJV設立目標)、SUNDRED(100の新産業共創)、外資のBCG Digital Ventures(200事業ローンチ、DROBEやOnedotなど)などです。契約形態は固定フィー+マイルストン報酬+資本参加+持分配当の組み合わせで、案件規模に応じて柔軟に設計されます。

共同創業型の強みは、リスク共有と実行コミットの両立です。支援会社が資本参加してJVに出資することで、支援側と依頼側のインセンティブが完全に揃います。戦略策定だけでなく、マーケ実行・人材採用・オペレーション構築まで支援側が担うため、依頼側の人的リソース不足を補えます。事業が成功したときの中長期の価値配分もJVの持分で設計できます。

弱点はパートナー候補の少なさと契約設計の複雑さです。Relic、quantum、BCG Digital Venturesなどは大企業向けの案件が中心で、中堅・中小企業向けの共同創業パートナーは国内でほぼ存在しません。契約の初期設計も通常のコンサル契約より複雑で、出資比率・レベニューシェア率・最低契約期間・中途解約条件を細かく詰める必要があります。

共同創業型が向くのは、既存事業とは別ブランドで新業態を立ち上げたい事業会社、FC本部を構築してエリア展開を加速したい企業、D2C→リアル店舗の拡張を検討する企業です。特に店舗・FC・エリアマーケティング領域は、成果報酬型のレベシェアがD2C同様にそのまま適用しづらいため、共同創業型との相性が良いと考えられます。

共同創業モデルの市場構造と先行事例を詳しく分析した 店舗・FC事業に共同創業パートナーが現れない構造 も合わせて参考にしてください。

中堅・中小企業が選ぶときの判断軸

新規事業コンサルを選ぶときの判断軸は、自社の予算・人員体制・事業フェーズの3つで決まります。

予算面では、年間1,000万円以上を確保できる企業は戦略ファーム系プロジェクト型やMBB(マッキンゼー・BCG・ベイン)クラスのコンサルを選択肢に入れられます。年間300〜1,000万円の予算なら、月額顧問型の中小企業向けコンサル(グローカル、シナプス、タナベなど)や、プロジェクト型の中堅コンサル(グッドパッチ、Relic単発プロジェクトなど)が現実的です。年間300万円未満の場合は、顧問契約を月額30〜50万円で結べる中小向けコンサルや、成果報酬型のマーケ支援会社を検討します。

人員体制面では、社内に実行人材(マーケ担当、事業開発担当、プロダクトマネージャー)が既にいる企業は月額顧問型やプロジェクト型で問題ありません。実行人材が不足している企業は、伴走型の実行支援まで含むサービス(AlphaDrive、Relic、才流、LMPなど)を選ぶべきです。

事業フェーズ面では、事業アイデアがまだ固まっていない段階ではプロジェクト型の戦略策定やデザインコンサルが向きます。アイデアは固まっているが実行人員と資金が不足している段階では共同創業型や成果報酬型を検討します。既に1号店・1号プロダクトがローンチしている段階では、マーケ実行を成果報酬で頼むか、共同創業型で多店舗展開・多商品展開を加速する選択肢があります。

判断を誤りがちなパターンも整理しておきます。戦略コンサルに実行まで期待するのは危険です。戦略ファームのプロジェクトは戦略策定が主業務で、実行は別料金の継続契約になります。実行まで込みのサービスを求めるなら、最初から伴走型・実行支援型のコンサルを選んでください。また、月額顧問型に「成果コミット」を期待するのも現実的ではありません。月額顧問の契約形態上、成果保証は含まれないのが一般的で、成果を求めるなら成果報酬型や共同創業型のモデルを選ぶべきです。

契約時に確認すべき6項目

契約形態の方針が固まったら、個別のコンサル会社を比較するフェーズに進みます。契約前に必ず確認すべき6項目を整理します。

実行範囲の明確化。戦略策定までなのか、マーケ実行までなのか、採用支援まで含むのか、契約書のスコープを明確にしておきます。口頭の期待値合わせではなく、成果物と担当範囲を文書化することが後のトラブル回避につながります。

担当者の経験と稼働時間。「代表が営業で出てきて、実務は若手が担当」というパターンは大手コンサルで頻発します。契約する前に、実際に担当する人の経歴、他のプロジェクトとの兼任状況、月の稼働時間の目安を確認してください。

業種実績と直近事例。自社に近い業種・規模の支援実績があるかを確認します。3〜5年以内の直近事例を複数聞き、具体的な成果と失敗事例の両方を聞き出すことが大事です。成功事例しか話さない会社は要注意です。

契約期間と解約条件。最低契約期間、途中解約時のペナルティ、成果未達時の契約継続可否を事前に確認します。月額顧問型で「最低12ヶ月縛り、中途解約不可」のような契約は避けるべきです。

費用の内訳と追加費用。月額フィーとは別に、出張費・ツール費・外部パートナー費・クリエイティブ制作費が発生する場合があります。予算超過を避けるため、総コストの見込みを契約時に把握します。

成果指標と振り返りサイクル。何をもって「成果あり」とするかのKPIと、振り返りの頻度(月次・四半期・半期)を合意します。KPIが曖昧なまま進むと、成果が出ていないのに惰性で契約が続いてしまうリスクがあります。

相談フェーズで確認したい問い

最後に、複数のコンサル候補と話すときに必ず投げかけたい問いを3つ挙げます。

「うちの事業フェーズと予算規模で、御社のサービスは本当にフィットしますか」という直球の問い。大手コンサルに中小企業が相談すると、予算不足で断られたり、若手中心の体制を案内されたりします。その前に率直に聞いてしまう方が、時間の無駄を省けます。

「御社が過去に失敗した案件と、その原因は何ですか」という問い。成功事例は資料に載っていますが、失敗事例は話してもらわないと見えません。率直に失敗事例を話してくれる会社は、学習して改善している可能性が高いです。失敗を認めない会社は要注意です。

「3ヶ月後・6ヶ月後に、何を達成できていれば成功と言えますか」という問い。期間とアウトプットを言語化してもらい、自社の期待値とすり合わせます。このすり合わせができない会社とは契約しない方が無難です。

新規事業コンサルの選択は、会社名の有名さではなく、自社のフェーズと契約形態のフィット感で決めることが成功確率を上げます。この記事で整理した4分類と判断軸が、比較検討の手がかりになれば幸いです。

新規事業立ち上げやFC本部構築、エリアマーケティング、店舗展開のご相談は 新規事業立ち上げ支援 または フランチャイズ・店舗ビジネスのマーケティング支援 よりお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 新規事業コンサルの費用相場はどのくらいですか?

A. 契約形態によって大きく変わります。月額顧問型は20〜100万円/月、プロジェクト型は3〜6ヶ月で300〜1,000万円、戦略ファーム系の本格プロジェクトは年間2,000万円以上が相場です。成果報酬型はマイルストン達成時の一時金、共同創業型は固定フィー+レベニューシェア+資本参加の組み合わせで、案件規模により幅があります。

Q. 中小企業でも新規事業コンサルを活用できますか?

A. 規模に合った契約形態を選ぶことが前提になります。大手戦略ファームは年間フィーが数千万円規模で中小企業には現実的ではありません。一方、中小企業向けに特化したコンサル(シナプス、Pro-D-use、グローカル、才流など)や、月額顧問型で伴走する会社を選べば月20〜50万円の予算でも支援を受けられます。

Q. コンサル会社と支援会社はどう違いますか?

A. コンサル会社は戦略・計画策定までが主な範囲で、実行は自社で担うのが基本です。支援会社はマーケや営業の実行まで踏み込む伴走型で、人的リソースの補完機能を持ちます。新規事業の立ち上げでは、戦略だけ頼んで実行が止まる失敗が多く、実行支援まで含む会社を選ぶのがおすすめです。

Q. 共同創業型のパートナーはどんな企業に向いていますか?

A. 新規事業を複数本並行して検証したい事業会社、既存事業のリソースを新規事業に割けない企業、リスクを部分共有したい企業に向いています。固定フィーを抑える代わりに成功報酬や売上連動の割合を高めるため、事業が軌道に乗ったときのトータルコストは月額顧問型より高くなる場合があります。契約期間・出資比率・レベニューシェア条件の設計が成功の鍵です。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

マーケティング支援の実務経験を活かし、BtoB/BtoCの戦略設計から施策実行まで150件超のプロジェクトを統括。地場の店舗ビジネスからスタートアップ、上場企業まで、現場に入り込んで再現性あるマーケティングを構築する。セミナー支援では企画・運営・登壇まで一気通貫で手がける。

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