不動産会社のLINE活用|追客の自動化と来店予約率を高める運用設計
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不動産会社のLINE活用|追客の自動化と来店予約率を高める運用設計

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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LINEの国内利用率は94.9%、60代でも91.1%に達しています。不動産業界ではメールの開封率が年々低下する中、LINEは顧客との接点を維持する最も効果的なツールになっています。

  • メールの3〜5倍の開封率。プッシュ通知で確実に届くため、新着物件の情報配信に適している
  • 友だち追加から個別相談への転換率35%の事例がある。診断形式アンケート+カレンダー予約で来店を自動化
  • ステップ配信で売上9倍を達成した不動産会社の実績。追客の仕組み化が鍵
  • 2026年6月料金改訂で1対1チャットが無料無制限に。個別の物件相談にLINEを使いやすくなった

この記事では、不動産会社のLINE公式アカウント活用を、導線設計から追客の自動化まで実務レベルで解説します。

不動産業界の追客課題

不動産の追客には従来、電話とメールが使われてきました。しかし、メールの開封率は年々低下し、不動産業界のメルマガ開封率は平均15〜20%程度にとどまっています。さらに若年層を中心に電話を避ける傾向が強まっており、「知らない番号からの着信は出ない」という層が増えています。

追客手段の比較

追客手段開封率・接触率即時性コスト顧客の心理的ハードル
電話架電接触率30〜40%高い人件費のみ高い(出たくない)
メール開封率15〜20%低い月数千〜数万円低い(読まれないだけ)
LINE開封率60〜80%高い月5,000円〜低い(日常のツール)
SMS開封率90%以上高い1通8〜15円中程度(業務利用に慣れていない)

物件の問い合わせ後に電話やメールで連絡がつかず、追客できないまま失注するケースは多いです。ある不動産会社の集計では、ポータルサイト経由の反響のうち、電話・メールで接触できたのは全体の45%にとどまり、残り55%は1回も会話することなく離脱しています。

LINEなら時間や場所を問わず気軽に連絡できるため、こうした機会損失を防げます。顧客が自分のタイミングでメッセージを確認し、返信できる非同期コミュニケーションは、不動産の検討プロセスに合っています。

LINE公式アカウントの基本については、LINE公式アカウントの活用ガイドでも解説しています。

LINE公式アカウントの基本設定

LINE公式アカウントの基本設定で重要なポイントを順に説明します。

アカウント名とプロフィール

アカウント名は「○○不動産 渋谷店」のように、会社名+エリアで設定します。LINE内検索で見つかりやすくなるほか、友だち一覧に表示された際にどのエリアの不動産会社かが一目でわかります。

プロフィール画像は会社のロゴを使用し、背景画像にはオフィスの外観や人気物件の写真を設定します。ステータスメッセージには「渋谷・世田谷エリアの物件情報をLINEでお届け」のように、配信内容を端的に伝える一文を入れてください。

リッチメニューの設計

リッチメニューはトーク画面の下部に固定表示されるメニューです。不動産会社の場合、以下の4つを配置するのが基本構成です。

  • 物件を探す(自社サイトの物件一覧ページ、またはエリア別の物件情報ページにリンク)
  • 来店予約(カレンダー予約ページ、またはフォームにリンク)
  • 資料請求(資料請求フォームにリンク)
  • 電話で相談(タップで電話発信されるように設定)

リッチメニューのデザインは、写真を多用したビジュアル重視のデザインよりも、テキストとアイコンでシンプルに構成した方がタップ率が高い傾向があります。各ボタンに「何ができるか」が一目でわかるよう、ラベルを明確にしてください。

あいさつメッセージの設計

友だち追加直後に自動送信されるあいさつメッセージは、アカウントの第一印象を決める重要な要素です。盛り込む内容は3つ。アカウントの使い方(どんな情報が届くか)、配信頻度(週○回程度)、そしてアンケートへの誘導です。

あいさつメッセージの直後に簡単なアンケート(希望エリア・予算帯・間取り・引越し時期)を実施すると、後のセグメント配信に活用できます。アンケートは選択式にし、3〜4問に絞ることで回答率を高めます。回答率の目安は50〜70%で、テキスト入力を求めると回答率は30%以下に下がります。

友だち追加の導線設計

LINE公式の友だち数を増やす導線は、大きく分けてオフライン導線とオンライン導線の2つがあります。

オフライン導線

物件資料・チラシへのQRコード掲載が基本です。紙の物件資料やチラシにLINE登録用のQRコードを掲載し、「LINEで最新物件情報を受け取る」と案内します。QRコードの横に「新着物件をLINEで即日お届け」と訴求文を添えると、登録率が上がります。

来店者全員にLINE登録をお願いするオペレーションも徹底してください。「物件の最新情報をLINEでお送りしますね」と案内し、その場でQRコードを読み取ってもらいます。来店者のLINE登録率は、声かけを徹底すれば80%以上を達成できます。

オンライン導線

LINE友だち追加広告は、1名あたり200〜300円の低コストでターゲット層にアプローチできます。エリア(配信地域)・年齢・性別・興味関心でターゲティングし、物件情報の配信を訴求して友だち追加を促します。

自社サイトへのLINE登録バナー設置も重要です。物件詳細ページの下部や、問い合わせフォームの近くに「LINEでもお問い合わせいただけます」のバナーを配置すると、フォーム入力が面倒な顧客の受け皿になります。

友だち追加導線のチェックリスト

導線設置場所期待効果
QRコード物件チラシ、店頭POP、名刺来店・チラシ閲覧者の友だち化
Webサイトバナー物件詳細ページ、TOPページサイト訪問者の友だち化
友だち追加広告LINE広告(エリアターゲティング)新規リーチの拡大(1名200〜300円)
来店時声かけ店頭(QRコードをカウンターに設置)来店者の80%以上が登録可能
ポータル反響対応時問い合わせ返信メール内にリンク設置メール→LINE移行で接触率UP

ステップ配信の設計

ステップ配信とは、友だち追加や特定の行動をトリガーにして、あらかじめ設定したメッセージを段階的に自動送信する機能です。手動で1件ずつ連絡する手間がなくなり、営業担当者の工数を大幅に削減できます。

基本ステップシナリオ

タイミング配信内容目的
友だち追加直後あいさつ + エリア・予算・間取りのアンケート属性情報の取得
1日後アンケート回答に基づくおすすめ物件3件即時の価値提供
3日後物件選びのポイント(コラム記事へのリンク)検討材料の提供
1週間後来店予約の案内 + カレンダーリンク来店への誘導
2週間後新着物件の配信(該当エリア)継続的な接点維持
1ヶ月後来店済み→契約フォロー / 未来店→再度来店案内分岐シナリオ

シナリオ設計のポイント

ステップ配信で重要なのは、配信タイミングと内容のバランスです。友だち追加から1週間以内は「温度感が高い」期間なので、物件情報を中心に配信します。1週間を過ぎると検討段階に入るため、コラム記事や住宅ローンの情報など、検討に役立つコンテンツに切り替えます。

配信頻度は週1〜2回が適切です。毎日配信すると「うるさい」と感じられてブロック率が上がり、月1回では存在を忘れられます。ブロック率の目安は20%以下を維持すること。ブロック率が20%を超えた場合は、配信頻度か内容に問題がある可能性が高いです。

ステップ配信を活用して展示会への集客を仕組み化した不動産会社では、導入前と比較して売上を9倍に拡大した事例があります。自動配信だけで成約に至るケースは少ないですが、営業担当者が個別対応する前の「下準備」として、ステップ配信は非常に有効です。

セグメント配信

LINEのセグメント機能を活用すれば、顧客の属性や行動履歴に基づいたターゲティング配信が可能です。全員に同じ物件情報を送るのではなく、エリア・予算帯・間取りに合った物件だけを配信することで、「自分に合った情報が届く」と感じてもらえます。

セグメントの分け方

セグメントは以下の軸で分類するのが基本です。

  • エリア別: 渋谷区、世田谷区、目黒区のように市区町村単位で分ける。「希望エリアの新着物件だけが届く」状態を作る
  • 予算帯別: 3,000万円台、4,000万円台、5,000万円以上のように1,000万円刻みで分類する
  • 物件種別: マンション、戸建、土地。顧客によって探している物件タイプが異なるため、的外れな情報配信を防ぐ
  • 検討段階別: 情報収集中、具体的に物件を探している、来店済み(検討中)、契約済み

一斉配信との効果比較

セグメント配信の効果は、一斉配信と比較すると明確です。一般的に、セグメント配信はクリック率が一斉配信の1.5〜2倍、ブロック率は一斉配信の半分以下になります。

友だち追加直後のアンケートで属性を取得し、セグメントに振り分けます。アンケートに回答しなかった顧客は「未分類」として一斉配信の対象にしますが、2回目の接点(来店時やチャットでのやり取り)で属性を把握したタイミングでセグメントに振り分けてください。

予約の自動化

「コミコミ不動産」の事例では、診断形式のアンケートとカレンダー予約機能を活用し、友だち追加したユーザーのうち約35%が個別相談に繋がりました。

自動予約フローの設計

この仕組みのポイントは、友だち追加直後のアンケートで「いつ頃引っ越しを検討していますか?」「希望エリアは?」と質問し、回答に応じた物件提案と予約導線を自動で提示することです。

  1. 友だち追加 → あいさつメッセージ
  2. アンケート(希望エリア、予算、間取り、引越し時期)→ 4問、選択式
  3. 回答結果に基づくおすすめ物件の自動表示(3件程度)
  4. 「もっと詳しく知りたい方は個別相談へ」→ カレンダー予約リンク
  5. 予約確定 → 確認メッセージの自動送信
  6. 予約日2日前 → リマインドメッセージの自動送信
  7. 予約日前日 → 最終リマインド+来店時の持ち物案内

リマインド配信の効果

予約日までのリマインド配信を自動化することで、来店率の向上とスタッフの工数削減を両立できます。リマインドなしの場合、予約のキャンセル・無断欠席率は20〜30%に達しますが、リマインド配信を2回入れることで10%以下に抑えられます。

リマインドメッセージには「当日のご来店お待ちしております。何かご不明な点があればこちらのLINEでお気軽にご連絡ください」と添えることで、急な予定変更にもLINEで対応でき、キャンセルではなく日程変更に誘導できます。

料金プランと費用対効果

LINE公式アカウントの料金プランは2026年6月に改訂されています。最大の変更点は、1対1のチャット利用が通数にカウントされなくなったことです。個別の物件相談やチャットでの質問対応は、どれだけ行っても料金に影響しません。

料金プランの比較

プラン月額月間配信数追加配信料金適した規模
コミュニケーションプラン無料200通追加不可立ち上げ期・テスト運用
ライトプラン5,000円5,000通不可友だち500人以下
スタンダードプラン15,000円30,000通1通あたり約3円友だち1,000人以上

配信数の「通」は、1人に1通送ると1カウントです。友だち300人に一斉配信すると300通消費します。セグメント配信で対象を絞ることで、通数を節約できます。

費用対効果の試算

中小不動産会社の多くはライトプランで対応可能です。以下に費用対効果の試算例を示します。

  • LINE公式(ライトプラン): 月額5,000円
  • 友だち追加広告: 月200名×250円 = 月50,000円
  • 合計月額コスト: 55,000円
  • 来店予約率35%の場合: 月70名が来店予約
  • 成約率10%の場合: 月7件の成約
  • 不動産仲介手数料(1件80万円と仮定): 月560万円の売上

費用55,000円に対して売上560万円のROIです。もちろん全ての成約がLINE起因ではありませんが、従来の追客手段(電話・メール)と比較して圧倒的に費用対効果が高いことがわかります。

社内運用体制の構築

LINE活用のデメリットとして、チャット内容の社内共有が難しい点があります。閲覧権限を持つ担当者でなければ直接確認できず、顧客情報をまとめるための追加業務が発生します。

CRM連携と運用ルール

この課題を解決するには、LINEとCRM(顧客管理システム)を連携させるのが最善です。Lステップ、L Message、エルメなどのLINE拡張ツールを使えば、LINEの友だち情報とCRMを自動連携でき、チャット履歴をチーム全体で共有できます。

CRM連携が難しい場合は、最低限の運用ルールを整備してください。たとえば、チャット対応後にCRMに要約を記録する、来店予約が入った時点で営業担当者にSlackで通知する、1日1回チャットの未対応件数を確認する、といった運用です。

対応時間とルールの明確化

営業時間外のメッセージ対応ルールも事前に決めておくことで、顧客対応の品質を維持できます。

  • 営業時間内(9:00〜19:00): 30分以内に初回返信を目標にする
  • 営業時間外: 自動応答メッセージを設定し、「翌営業日の午前中にご返信いたします」と明記する
  • 定休日: 同様に自動応答を設定。緊急の場合は電話番号を案内する

返信速度は顧客満足度に直結します。初回返信が1時間以内か24時間以内かで、来店予約率に2倍以上の差が出るというデータもあります。

不動産会社のSEO対策やMEO対策と組み合わせることで、LINE活用の効果はさらに高まります。不動産会社のSEO対策不動産会社のMEO対策エリアマーケティングも併せて確認してください。


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よくある質問

Q. 不動産会社がLINEを活用するメリットは?

A. LINEの国内利用率は94.9%で、メールより開封率が高く、物件情報の即時配信に適しています。電話やメールで連絡がつかない顧客ともLINEなら気軽にやり取りでき、機会損失の防止に直結します。

Q. LINE経由の来店予約率はどのくらいですか?

A. 診断形式のアンケートとカレンダー予約を組み合わせた不動産会社では、友だち追加したユーザーの約35%が個別相談に繋がっています。ステップ配信を活用した会社では売上9倍の事例もあります。

Q. LINE公式アカウントの料金は?

A. 2026年6月に料金改訂があり、1対1のチャットは通数に含まれず無料で無制限利用できます。月5,000通までのライトプランは月額5,000円です。

Q. LINEとメール、どちらを優先すべきですか?

A. LINEの開封率はメールの3〜5倍とされており、即時性が求められる物件情報にはLINEが適しています。契約書類の送付には引き続きメールが向いています。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

マーケティング支援の実務経験を活かし、BtoB/BtoCの戦略設計から施策実行まで150件超のプロジェクトを統括。地場の店舗ビジネスからスタートアップ、上場企業まで、現場に入り込んで再現性あるマーケティングを構築する。セミナー支援では企画・運営・登壇まで一気通貫で手がける。

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