介護施設の集客 施設種別と意思決定者を踏まえた集客設計
集客・販促

介護施設の集客 施設種別と意思決定者を踏まえた集客設計

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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入居率・稼働率を上げようとチラシを配り、ホームページをリニューアルしたのに問い合わせが増えない——そう感じている施設は少なくない。介護施設の集客が難しいのは、「利用を決める人」と「実際に利用する人」が異なるケースが多く、集客の設計が複雑だからだ。

この記事では、施設種別とターゲットとなる意思決定者の違いを整理したうえで、デジタルとアナログを組み合わせた実践的な集客設計を解説する。

介護施設の集客が難しい理由

他の業種の集客と根本的に異なるのは、「誰に届けるか」の複雑さにある。

意思決定者は「本人」か「家族」か

クリニックや飲食店であれば、サービスを受ける本人が自分で検索し、自分で予約する。ところが介護施設では、認知症や身体機能の低下により、本人が自ら検索して施設を選ぶケースは限られる。実際の意思決定は、子供世代(40〜60代)の家族が担う場合が多い。

つまり介護施設の集客は、「利用する高齢者本人」ではなく「検索して比較する家族」に刺さるメッセージとチャネル設計が必要になる。

また、施設・サービス種別によっても意思決定の経路が異なる。

  • 特別養護老人ホーム(特養) — 要介護3以上が入居要件で、ケアマネジャー経由の紹介が主な流入経路
  • 有料老人ホーム(住宅型・介護付き) — 家族が複数施設を比較し、見学・体験入居を経て決定
  • デイサービス(通所介護) — ケアマネジャーの紹介が多いが、家族がポータルや検索で探すケースも増加
  • 訪問介護 — ケアマネジャーの紹介がほぼ全て。デジタル集客の優先度はやや低い

施設種別によって「誰に届けるか」と「どのチャネルで届けるか」が変わるため、集客施策を設計する前にこの整理をしておく必要があります。

ケアマネジャーの存在が集客構造を左右する

介護保険サービス(特養・デイサービス・訪問介護)の利用者は、原則としてケアマネジャーが作成するケアプランに沿ってサービス事業者を選ぶ。ケアマネジャーが「この施設を使いましょう」と提案するか否かが、稼働率に直結する。

デジタル集客が強くなっている現在でも、ケアマネジャーへの営業(関係構築)は介護施設の集客において依然として最重要チャネルの一つだ。Googleビジネスプロフィールの最適化方法はGBP整備の出発点として合わせて参照されたい。

施設種別 × 主要集客チャネルの優先度 施設種別 ケアマネ営業 GBP/MEO HP・SEO ポータル チラシ 特養 S B B C C 有料老人ホーム A A S S B デイサービス S S A A B 訪問介護 S B B C C S 最重要 A 優先 B 補完的に実施 C 優先度低

ケアマネジャーへの営業をどう設計するか

介護保険サービスの集客において、ケアマネジャーとの関係構築は不可欠です。ただし「訪問営業すれば紹介してもらえる」という単純な構造ではありません。

ケアマネジャーが施設を選ぶ判断基準

ケアマネジャーが利用者にサービス事業者を紹介するとき、第一の判断軸は「この施設に任せて大丈夫か」という信頼感だ。スタッフの質、対応の速さ、クレーム時の対処——こうした実績の積み重ねが紹介数に直結する。

具体的に重視されるポイントは次のとおりだ。

  • 空き状況の迅速な共有(ケアマネが相談してきたとき、即日回答できるか)
  • 入居・利用開始後の状態報告(家族への連絡と同様に、ケアマネへの定期報告も必要)
  • 施設見学のしやすさ(食事体験・リハビリ見学など、利用者像が伝わる機会を提供できるか)
  • 問題発生時の初動の速さと透明性

営業頻度と接触設計

月1〜2回の定期訪問を基本とし、季節ごとの施設イベント(夏祭り・クリスマス会等)への招待を組み合わせると関係が深まる。訪問の際に持参するのは、「現在の空き状況と対応できる利用者像」を1枚にまとめたシートが有効だ。「要介護3以上、認知症対応可、現在2室空きあり」といった情報を端的に伝えることで、ケアマネが適切な利用者候補を紹介しやすくなる。

担当エリア内のケアマネジャー事務所(居宅介護支援事業所)をリスト化し、接触頻度を管理することが営業活動の精度を上げる。

Googleビジネスプロフィールが集客の基盤になる

有料老人ホームやデイサービスでは、家族が「デイサービス ○○市」「老人ホーム 近く」などのキーワードで検索し、Googleマップ上で施設を比較するケースが増えている。この流入経路で上位3枠(ローカルパック)に表示されることが、問い合わせ数に大きく影響する。

GBPで整備すべき項目

Googleビジネスプロフィール(GBP)の整備は費用がかからない。ただし、情報が不完全なまま放置されているケースが多く、整備するだけで競合と差がつく。

項目設定のポイント
施設名・カテゴリ「老人ホーム」「デイサービスセンター」など正確なカテゴリを設定
営業時間見学受付時間・電話対応時間を明記(空欄は不信感につながる)
写真施設内観・食事・スタッフの顔写真(最低20枚以上が目安)
口コミへの返信ネガティブな口コミも含め全件返信。放置は致命的
投稿機能月2〜4回の投稿でイベント・空き情報を発信
Q&A費用・入居条件などよくある質問を施設側から先に登録

口コミ獲得の具体的な設計

GBPの順位とクリック率を左右するのが口コミ数と評価点だ。介護施設での口コミ獲得は、入院・クリニックより難易度が高いが、やり方はある。

効果的なのは「家族が来訪したタイミングでの依頼」だ。面会に来た家族が施設に満足している様子を見せたとき、担当スタッフが声をかけ、口コミ投稿用のQRコードを印刷したカードを渡す。「よろしければ、Googleに施設の感想をいただけると大変励みになります」という一言で投稿率が上がる。

返信は必ず行う。特にポジティブな口コミへの丁寧な返信は「施設の対応の質」を見ている潜在的な家族に対してのメッセージにもなる。

ホームページとポータルサイトの役割分担

ポータルサイトは「即効性ある入口」

LIFULL介護・みんなの介護・介護のほんねといった介護ポータルサイトへの掲載は、即効性がある。施設を探す家族がポータルで比較検討するケースは多く、掲載情報が充実しているほど問い合わせにつながりやすい。

ポータルの掲載で重要なのは「差別化ポイントの明確化」だ。入居条件・費用・施設の特徴が並列で比較される環境では、「専門スタッフが24時間常駐」「リハビリ特化型プログラム」といった具体的な強みがなければ他施設に埋もれる。

自社ホームページは「信頼感の醸成装置」

ポータルで施設名を見た家族が次に行く場所は、施設の公式ホームページだ。ポータルよりも詳細な情報(スタッフの顔写真・日々の生活の様子・食事の写真・施設長のコメント等)を掲載し、「ここなら安心して親を任せられる」という信頼感を醸成するのが自社HPの役割だ。

ホームページで優先すべき改善点は次のとおりだ。

  • スタッフの顔写真と一言コメントの掲載(スタッフの人となりが伝わることが安心感につながる)
  • 日々の活動を記録したブログ・フォトギャラリー(更新頻度が高いほど「活発な施設」という印象を与える)
  • 費用の目安をわかりやすく記載(介護費用の不透明感が問い合わせの心理的ハードルを上げている)
  • 見学申し込みフォームの設置(電話だけでなくWebから申し込める導線を作る)

SEOの観点では、「デイサービス ○○市」「老人ホーム ○○区 費用」のような地域名を含むキーワードでの上位表示を目指すことが自然流入につながる。

チラシ・地域イベントによるオフライン集客

デジタル施策が重要になっている一方、介護施設の集客において地域密着のオフライン施策も一定の効果を持つ。

ポスティングの使いどころ

チラシのポスティングは、反応率が0.1〜0.3%と低いため、毎月コストをかけ続けるのは費用対効果が悪い。有効なのは「施設オープン時」「増床・新サービス開始時」「地域のイベント開催告知」など、インパクトのある情報を持っているタイミングに絞ること。

配布エリアは施設から徒歩・自転車で通える範囲(デイサービスの場合は概ね半径3km以内)に絞り、特に高齢者比率の高い地域(団地・マンション等)を優先する。

地域包括支援センターとの連携

地域包括支援センターは、介護認定前後の高齢者やその家族が相談に来る窓口だ。ここに施設情報を定期的に届け、担当者との関係を作ることが紹介につながる。定期的な訪問と、相談員向けの施設見学会を組み合わせると効果的だ。

健康教室・体験イベントの開催

近隣の高齢者や家族を対象にした「転倒予防教室」「認知症予防セミナー」「施設見学&食事体験会」は、施設の認知向上と潜在利用者の発掘を兼ねたイベントとして機能する。すぐに利用につながらなくても、「困ったときに思い出される施設」になることが長期的な集客資産になる。

施設の「強み」をどう言語化するか

集客の根底にあるのは「なぜこの施設を選ぶのか」だ。施設が混在する地域では、適切な強みの言語化と発信が集客力の差を生む。

強みを作る3つの切り口

切り口
専門性・プログラムリハビリ特化、認知症ケア専門スタッフ在籍、個別機能訓練加算Ⅱ取得
環境・設備全室個室、入居者一人ひとりに合わせた食事対応、浴室の充実
スタッフ・文化離職率が低い(長く働くスタッフが多い)、行事が豊富、家族参加型のイベント

「全室個室で24時間スタッフ常駐」は当たり前の情報になりつつある。競合が語らない視点——「スタッフが長く働いている施設は、ケアの質が安定している」「食事の個別対応ができる施設は、利用者の満足度が高い傾向がある」といった切り口が、選ばれる理由の言語化につながる。

強みはターゲット別に変える

家族(子世代)に刺さるメッセージと、ケアマネジャーに伝えるべき情報は異なる。

家族向けには「安心・信頼・コミュニケーションの充実」を訴求する。スタッフの顔と名前、日々の活動報告、家族への連絡体制といった要素が有効だ。ケアマネジャーには「どんな状態の利用者に対応できるか」という具体的な受入条件と、「入居後の対応が迅速で報告が丁寧」という実績面のメッセージが刺さる。

集客施策の優先順位づけ

リソースが限られる中で全ての施策を同時に進めることはできない。施設種別と現状の課題に応じた優先順位づけが重要だ。

稼働率が低い施設が最初に着手すること

GBPの整備とポータルサイトへの情報更新が最初のステップだ。費用が少なく、即効性があり、改善の効果が測定しやすい。

次に、ケアマネジャーへの営業体制を整える。担当者を明確にし、訪問先リストと訪問頻度の管理を始める。施設内にいる全スタッフが営業担当ではないため、対外折衝を担う窓口を明確にするだけで動きが変わる。

デジタル集客の中長期的な柱として、自社ホームページのコンテンツ充実とSEO対策に取り組む。ブログ・活動報告の継続更新が、地域名×サービス種別のキーワードでの自然検索流入を育てる。

フェーズ施策期待できる効果
即時(〜1ヶ月)GBP整備・ポータル情報更新・口コミ依頼開始検索表示数・問い合わせ数の改善
短期(1〜3ヶ月)ケアマネ訪問体制の整備・空き情報の定期共有紹介件数の増加
中期(3〜6ヶ月)HP改善・ブログ更新・地域イベントSEO流入の増加・施設認知の向上
長期(6ヶ月以降)コンテンツSEOの深化・口コミ蓄積広告費ゼロでの問い合わせ増加

介護施設の集客は一朝一夕では成果が出ない。「今日の施策が3ヶ月後の問い合わせを作る」という視点で、優先度の高いものから順番に積み上げていくことが稼働率改善への最短経路だ。


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よくある質問

Q. 介護施設の集客で最初に着手すべきことは?

A. Googleビジネスプロフィール(GBP)の整備です。「デイサービス 地域名」「訪問介護 近く」の検索でGoogleマップ上位3枠に入ることが入居・利用の問い合わせに直結します。GBP整備には費用がかからず、今日から着手できる最も費用対効果の高い施策です。

Q. ケアマネジャーへの営業はどのようにすれば効果的ですか?

A. 月1〜2回の定期訪問と、季節ごとの施設見学会(食事体験・リハビリ見学)の組み合わせが効果的です。紹介してもらえるかどうかは「この施設なら安心して紹介できる」という信頼の積み重ねで決まるため、空きベッド情報の迅速な共有と、入居後の状態報告を丁寧に行うことが重要です。

Q. 口コミはどうやって増やせばよいですか?

A. Googleビジネスプロフィールへの口コミ投稿を家族に依頼するのが最も効果的です。退院・退所時、あるいは満足度の高い場面(家族が面会に来たタイミング)でスタッフが直接声をかけ、QRコードを渡すと投稿率が上がります。返信も必ず行い、施設の対応姿勢を見せることが次の口コミを呼びます。

Q. ホームページとポータルサイト、どちらを優先すべきですか?

A. 初期はポータルサイト(LIFULL介護・みんなの介護等)へ掲載し、自社ホームページは中長期で育てる二段構えが現実的です。ポータルは即効性がありますが掲載料がかかります。自社HPはSEOが育てば問い合わせコストがゼロになるため、並行して整備を進めることを推奨します。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

マーケティング支援の実務経験を活かし、BtoB/BtoCの戦略設計から施策実行まで150件超のプロジェクトを統括。地場の店舗ビジネスからスタートアップ、上場企業まで、現場に入り込んで再現性あるマーケティングを構築する。セミナー支援では企画・運営・登壇まで一気通貫で手がける。

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