リスティング広告の費用相場を業種別に解説 — 予算の決め方と成果の目安
広告・LP改善

リスティング広告の費用相場を業種別に解説 — 予算の決め方と成果の目安

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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「リスティング広告を始めたいが、いくらかかるのかわからない」。広告運用の相談で最も多いのがこの質問です。

結論から言えば、業種と目的によって費用感はまったく異なります。BtoB の SaaS 企業と地域の飲食店では、1クリックあたりの単価が10倍以上開くことも珍しくありません。月額5万円で十分に成果が出る業種もあれば、50万円でも足りない業種もあります。

本記事では、業種別のクリック単価(CPC)と顧客獲得単価(CPA)の目安を実績データをもとに整理し、予算の決め方まで解説します。リスティング広告の基本的な仕組みについては「リスティング広告の始め方」を先にご覧ください。

リスティング広告の費用構造

要点: リスティング広告の費用は「CPC × クリック数」が基本。代理店に依頼する場合は手数料と初期費用が加わる。

リスティング広告の費用を理解するために、まず構成要素を整理します。

クリック単価(CPC)

広告が1回クリックされるたびに発生する費用です。Google広告の場合、オークション形式で入札額と広告品質によって決まります。業種・キーワードの競合度によって数十円から数千円まで幅があります。

月額広告費

CPC × 月間クリック数で決まります。Google広告には最低出稿額の制限がないため、月1万円からでも出稿は可能です。ただし、統計的に意味のあるデータを集めるには一定のボリュームが必要です。

代理店手数料

自社で運用する場合は不要ですが、代理店に委託する場合は広告費の15〜20%が相場です。月額広告費100万円なら手数料15〜20万円。これに加えて、最低手数料を月5〜10万円に設定している代理店が多いため、広告費が少額の場合は手数料比率が割高になります。

初期費用

代理店に依頼する場合、アカウント構築・キーワード設計・コンバージョン計測の設定などで5万〜20万円の初期費用が発生するケースが一般的です。

つまり、月額の総費用は以下の計算になります。

月額総費用 = 広告費 + 代理店手数料 + (初月のみ)初期費用

自社運用であれば広告費のみで済みますが、運用担当者の人件費を忘れてはいけません。内製と外注の費用比較については「広告運用は内製 vs 外注?」で詳しく解説しています。

業種別のクリック単価とCPA目安

要点: 同じリスティング広告でも、BtoB と BtoC ではCPCが5〜10倍違うことがある。自社の業種に近い数値を参考に予算を組むことが重要。

以下のデータは、実際の運用プロジェクトから得られた参考値です。キーワードの選び方、地域設定、競合状況によって大きく変動するため、あくまで「この範囲に収まることが多い」という目安として捉えてください。

BtoB(法人向けサービス)

BtoB は検索ボリュームが小さい代わりに、1件あたりの受注単価が大きいのが特徴です。CPCは高くなりがちですが、受注につながれば十分にペイするケースがほとんどです。

業種平均CPC月額広告費目安CPA目安
SaaS / ITサービス800〜2,500円50万〜300万円1万〜5万円/リード
コンサルティング1,000〜3,000円30万〜200万円2万〜8万円/リード
人材・採用サービス500〜2,000円30万〜150万円1万〜3万円/応募
製造業・部品300〜1,500円20万〜100万円5,000〜3万円/問合せ

BtoB で注意すべきなのは、リード獲得がゴールではないという点です。リードから商談、商談から受注までのCVRを含めて費用対効果を見る必要があります。たとえば CPA 3万円でリードを獲得し、商談化率30%、受注率25%であれば、受注1件あたりの広告コストは40万円です。受注単価が200万円以上であれば、ROAS は十分に合います。

BtoC(店舗・サービス業)

BtoC は検索ボリュームが大きく、CPCは比較的低めです。ただし、美容クリニックや不動産など競争の激しい業種ではCPCが高騰しています。

業種平均CPC月額広告費目安CPA目安
美容クリニック300〜1,500円20万〜100万円3,000〜1万5,000円/予約
不動産・リフォーム200〜1,000円20万〜80万円5,000〜2万円/問合せ
フィットネスジム100〜500円10万〜50万円2,000〜8,000円/体験申込
飲食店50〜300円5万〜30万円500〜3,000円/来店
学習塾・スクール150〜800円10万〜50万円3,000〜1万円/体験申込

店舗ビジネスの場合、リスティング広告はエリアを絞って配信するのが基本です。商圏が狭い業種ほど、地域設定を適切に行えば少額でも成果が出やすくなります。

EC・D2C

EC の場合、購入単価に対する広告費の比率(ROAS)で判断するのが一般的です。

業種平均CPC月額広告費目安CPA目安
アパレル50〜300円20万〜200万円1,000〜5,000円/購入
健康食品・サプリ100〜500円30万〜300万円2,000〜8,000円/購入
雑貨・インテリア30〜200円10万〜100万円500〜3,000円/購入

EC では初回購入のCPA だけでなく、LTV(顧客生涯価値)を加味して広告費を判断することが重要です。定期購入型の商材であれば、初回CPAが高くても2回目以降のリピートで回収できる設計が可能です。

予算の決め方 3つのアプローチ

要点: 予算設定に正解はないが、「CPA逆算」「売上目標逆算」「テスト予算」の3パターンで考えると整理しやすい。

目標CPA逆算型

最もシンプルな方法です。「1件のコンバージョンにいくらまで払えるか」を決めて、目標件数を掛け算します。

必要広告費 = 目標CPA × 目標CV数

たとえば、BtoB でリード1件あたり2万円まで許容でき、月20件のリードが欲しい場合、必要な広告費は月40万円です。ここに代理店手数料20%を加えると、月額総予算は48万円になります。

この方法が使えるのは、過去の運用データや業界水準から目標CPAの妥当性を判断できる場合です。初めてリスティング広告を出稿する場合は、前述の業種別CPA目安を参考値として使ってください。

売上目標からの逆算型

事業計画から逆算するアプローチです。BtoB企業で使いやすい方法で、経営層への説明もしやすくなります。

計算の流れは以下のとおりです。

  1. 月間売上目標 ÷ 平均受注単価 = 必要受注数
  2. 必要受注数 ÷ 受注率 ÷ 商談化率 = 必要リード数
  3. 必要リード数 × 想定CPA = 必要広告費

具体例で計算してみます。月間売上目標が500万円、平均受注単価が100万円の場合、必要受注数は5件。受注率25%、商談化率30%で逆算すると、必要リード数は約67件。想定CPA 2万円で掛けると、必要広告費は約134万円です。

この計算はあくまで机上のシミュレーションですが、広告費が事業にどう貢献するかを数字で示せるため、社内での予算確保に有効です。

テスト予算型

過去データがなく、CPAもCVRも読めない場合はこのアプローチが現実的です。

まず月10〜30万円の範囲で3ヶ月間テスト運用を行います。この期間で得られるのは以下のデータです。

  • 実際のCPC(業種別の相場感がわかる)
  • CVR(LPの転換率がわかる)
  • CPA(1件あたりの実績コストがわかる)
  • 検索語句レポート(ユーザーがどんな言葉で検索しているかがわかる)

3ヶ月間のデータを元に、目標CPA逆算型または売上目標逆算型で本格予算を設定します。テスト期間中の広告費は「市場調査費」と捉えるのが正しい考え方です。

CPAの改善方法については「CPL最適化ガイド」で詳しく解説しています。

費用対効果を上げる実務施策

要点: 広告費を増やす前に、既存の配信設定とLP を見直すだけでCPAが20〜40%改善するケースは多い。

キーワードの絞り込み

部分一致で広く配信している場合、意図しない検索語句にも広告が表示されてクリック費用が消化されます。完全一致やフレーズ一致を活用し、コンバージョンにつながるキーワードに予算を集中させましょう。

除外キーワードの設定

検索語句レポートを週1回は確認し、「無料」「求人」「とは」「やり方」など、購買意欲の低い検索語句を除外設定します。これだけで無駄なクリックが15〜25%削減できることがあります。

LPの改善

広告のCTRが良くてもLPのCVRが低ければ、CPAは高止まりします。特に見直すべきポイントは以下の3点です。

  • ファーストビューのメッセージと広告文の一致
  • フォームの入力項目数(BtoB なら5項目以内が目安)
  • ページの読み込み速度(3秒以内が目標)

入札戦略の最適化

コンバージョンデータが月30件以上蓄積されている場合は、目標CPA入札(tCPA)への切り替えを検討してください。Google の自動入札は十分なデータがあれば手動入札より高い精度で最適化してくれます。逆に、データが少ない段階で自動入札に切り替えると、学習が安定せずCPAが乱高下します。

広告文のテスト

同じキーワードに対して訴求軸の異なる広告文を2〜3パターン用意し、CTRとCVRを比較します。「価格訴求」「実績訴求」「課題解決訴求」など、切り口を変えてテストすることで、自社のターゲットに刺さるメッセージが見つかります。

広告費を無駄にしないための注意点

要点: 計測が不正確なまま運用を続けると、どの施策が効いているのかわからず、改善が進まない。

コンバージョン計測の精度を確認する

GA4 と Google広告でコンバージョンの定義が異なっていたり、タグの発火条件がずれていたりすると、正しい数値が見えません。特にフォーム送信をコンバージョンに設定している場合、サンクスページの URL 条件やイベントトリガーの設定を確認してください。

アトリビューション設定を見直す

デフォルトのラストクリックだけで評価すると、初回接点を作った広告の貢献が見えなくなります。BtoB のように検討期間が長い商材では、データドリブンアトリビューションを設定し、各接点の貢献を正しく評価しましょう。

検索語句レポートを定期的に確認する

設定した除外キーワードだけでは拾いきれない意図しない検索語句は常に発生します。週に1回、最低でも月に2回は検索語句レポートを確認し、無関係な語句を除外していく運用が必要です。

品質スコアの改善に取り組む

品質スコアが高いとオークションで有利になり、同じ掲載順位をより低いCPCで獲得できます。広告文とLPの関連性、LPのユーザー体験、広告の推定クリック率の3要素を意識して改善を進めてください。品質スコアが3から7に上がると、CPCが30〜50%下がることもあります。

自社の業種・予算で広告運用の成果シミュレーションを無料で作成します

業種別のベンチマークデータをもとに、想定CPA・月間リード数・必要予算を算出します。

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まとめ

リスティング広告の費用は「CPC × クリック数」というシンプルな構造ですが、業種によってCPCは数十円から数千円まで10倍以上の差があります。

予算の決め方は、過去データがあれば「目標CPA逆算型」、事業計画から落とし込むなら「売上目標逆算型」、データがなければ「テスト予算型」で3ヶ月間の実績を積んでから本格化するのが実践的です。

費用対効果を最大化するには、広告の運用調整だけでなく、LPの改善とコンバージョン計測の正確性が不可欠です。広告費を増やす前に、まずは計測環境と LP を整備し、現在の予算内でCPAを下げられる余地がないかを確認してください。

広告運用を含むマーケティング施策の最適化について相談したい場合は、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. リスティング広告は月いくらから始められますか?

A. 最低出稿額の制限はありません。ただし実効性のあるデータを集めるには月10万円以上、本格的な改善サイクルを回すなら月30万円以上が目安です。

Q. BtoB企業のリスティング広告の費用対効果はどのくらいですか?

A. BtoBのリスティング広告はCPCが高い(500-3,000円)ものの、1件の受注単価が大きいためROASは高くなる傾向です。リード獲得CPA 1万〜5万円、受注CVR 10-20%が一般的な水準です。

Q. 代理店に依頼する場合の費用はどのくらいですか?

A. 広告費の20%が一般的な手数料です。月額広告費50万円なら手数料10万円で合計60万円。ただし最低手数料(月5-10万円)を設定している代理店が多いです。

Q. リスティング広告とSEOはどちらに予算を割くべきですか?

A. 短期でリードが必要ならリスティング広告、中長期のコスト効率を重視するならSEO。理想は両方を並行し、リスティングで得たキーワードデータをSEOに活かす使い方です。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

マーケティング支援の実務経験を活かし、BtoB/BtoCの戦略設計から施策実行まで150件超のプロジェクトを統括。地場の店舗ビジネスからスタートアップ、上場企業まで、現場に入り込んで再現性あるマーケティングを構築する。セミナー支援では企画・運営・登壇まで一気通貫で手がける。

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